パートの残業代は時給か125%か|法定内残業と週40時間の判定を、医療・介護の実務で解説

パートの職員に、30分だけ残業をお願いした。この30分は、時給のまま払えばよいのでしょうか。それとも1.25倍が必要でしょうか。

医療機関や介護事業所では、この判断が毎月、しかも職員一人ひとりのシフトごとに発生します。訪問介護や訪問看護はもちろん、クリニックや歯科医院でも、受付事務・歯科衛生士・看護師の多くがパート雇用です。急な欠勤の穴埋め、診療時間の延長、利用者の都合による訪問時間の変更。所定労働時間どおりに終わらない日は珍しくありません。

一般的な解説記事は「パートでも正社員でも考え方は同じです」と説明します。それ自体は正しいのですが、非常勤が職員の多くを占める職場では、同じ制度でも作業量と間違えたときの影響が違います。判定を1つ誤ると、それが毎月、全員分、積み重なっていきます。

この記事では、パート・非常勤職員の残業代を「1日8時間」と「週40時間」の2段階で数える方法を解説します。特に、1日ごとには8時間に届いていないのに週の合計で超えてしまうケースは、日単位の集計では気づけません。ここが実務で最も落ちやすい箇所です。

目次

パートの残業代は、原則として時給のまま。125%になるのは2つの場合だけ

パート・非常勤の職員が契約した時間を超えて働いた場合、その時間の賃金は、原則として時給×労働時間、つまり100%です。25%の割増が必要になるのは、次の2つの場合だけです。

  • 1日の実労働時間が8時間を超えた部分
  • 1週間の実労働時間が40時間を超えた部分

具体的には、次のようになります。

働き方支払う賃金
所定6時間の職員が7時間働いた(週40時間以内)増えた1時間は時給×1時間(100%)
所定7時間の職員が9時間働いた8時間までは100%、超えた1時間は125%
1日ごとには8時間未満だが、週の合計が42時間40時間を超えた2時間が125%
パート・非常勤の残業代の判定フロー。1日8時間または週40時間を超えた部分が125%になることを示す図

なぜこうなるのか。労働基準法が25%以上の割増賃金を義務づけているのは、「法定労働時間を超えて労働させた場合」だからです(労働基準法37条1項)。法定労働時間とは、1日8時間・週40時間という法律上の上限を指します(同法32条)。

一方、所定労働時間は、事業所と職員が契約で決めた時間です。「1日6時間・週3日」といった契約がこれにあたります。所定労働時間を超えても、法定労働時間の枠内に収まっていれば、37条の割増義務は発生しません。この部分の残業を法定内残業、法定労働時間を超えた部分を法定外残業と呼びます。

ただし、割増が不要なだけで、賃金そのものは必要です。働いた時間に対する賃金を支払わないことは、賃金全額払いの原則(同法24条1項)に反します。「8時間を超えていないから無給でよい」という扱いは認められません。

もう一点、判断には順序があります。就業規則や雇用契約で法律を上回る定めをしている場合は、その定めが優先します。たとえば「所定労働時間を超えた分は25%割増」と規定していれば、8時間以内であっても125%を支払う義務が生じます。まず法律の最低ラインを確認し、次に自院・自事業所の規程を確認する。この順序で判断してください。

深夜・法定休日の割増は、別に加算される

この記事で扱うのは時間外労働の割増賃金です。深夜(原則として午後10時から午前5時まで)の労働には25%以上(同法37条4項)、法定休日の労働には35%以上の割増賃金が、これとは別に必要です。

夜間診療や夜勤のある事業所では、これらが重なります。整理すると次のようになります。

働いた時間支払う割合
法定内残業(深夜以外)100%
法定内残業が深夜にかかった125%(100%+深夜25%)
法定外残業(深夜以外)125%(100%+時間外25%)
法定外残業が深夜にかかった150%(100%+時間外25%+深夜25%)
割増率の積み上げ図。法定外残業が深夜に及ぶと時間外25%と深夜25%が加算され150%になることを示す図

法定内残業でも、深夜にかかれば深夜割増は必要です。そして法定外残業が深夜に及んだ場合は、時間外と深夜の両方が加算され、150%になります。ここは加算漏れが起きやすい箇所です。

法定内残業と法定外残業は何が違うのか

ここまでの結論を、もう少し丁寧に分解します。給与計算の設定を確認するときに、この区別が出発点になります。

所定労働時間と法定労働時間

労働時間には、2つの異なる基準があります。

所定労働時間は、事業所と職員が労働契約で決めた時間です。雇用契約書に「1日6時間・週4日」と書いてあれば、それがその職員の所定労働時間です。事業所ごと、職員ごとに違います。

法定労働時間は、労働基準法が定める上限です。1日8時間、1週40時間(労働基準法32条)。こちらは法律で決まっているので、どの事業所でも同じです。

パート・非常勤職員の場合、所定労働時間は法定労働時間より短いのが通常です。この2つの間に差があること。これが、法定内残業という区分が生まれる理由です。

2つの残業

区分どの時間か割増賃金36協定
法定内残業所定労働時間は超えたが、1日8時間・週40時間の範囲内不要(100%)不要
法定外残業1日8時間または週40時間を超えた部分必要(125%)必要

所定6時間の職員が7時間働いた場合、増えた1時間はすべて法定内残業です。所定7時間の職員が9時間働いた場合は、8時間までの1時間が法定内残業、8時間を超えた1時間が法定外残業になります。同じ「1時間の残業」でも、支払う金額が変わります。

なお、法定内残業・法定外残業という言葉は、労働基準法の条文に出てくる用語ではありません。実務上の呼び方です。書籍や勤怠管理システムによっては「所定内残業」「所定外残業」「時間外労働」など、別の名称を使っていることがあります。就業規則や給与計算システムの項目名を確認するときは、名称ではなく、その項目がどの時間を指しているかで判断してください。

36協定が必要になるのも、法定外残業だけ

36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)を締結して労働基準監督署に届け出る必要があるのは、法定労働時間を超えて労働させる場合と、法定休日に労働させる場合です(労働基準法36条)。届出をせずに法定外残業をさせると、労働基準法違反になります。

裏を返せば、法定内残業だけであれば、36協定は法律上求められていません。

ただし実務では、パート職員が週40時間を超える可能性が少しでもあるなら、届け出ておくことをお勧めします。急な欠勤の穴埋めは、予定できるものではありません。「うちのパートは短時間だから」という理由で届け出ていない事業所は、1日でも超えた時点で違反状態になります。36協定そのものの落とし穴については、クリニック・歯科医院の36協定で無効になりやすい4つのポイントで詳しく整理しています。

週40時間ではなく44時間になる事業場について

常時使用する労働者が10人未満の一定の事業場では、特例として、週の法定労働時間が44時間となる場合があります(労働基準法40条、労働基準法施行規則25条の2)。1日8時間の方には特例がなく、変わるのは週の基準だけです。

この特例を採用している事業所は、この記事の「週40時間」を「週44時間」に読み替えてください。数え方の考え方そのものは変わりません。自院・自事業所が該当するかどうか判断がつかない場合は、所轄の労働基準監督署か顧問社労士にご確認ください。

就業規則の「1日8時間」だけでは、週40時間が抜ける

多くの事業所の就業規則には、割増賃金について次のように書かれています。

1日8時間を超えて勤務させたときは、通常の賃金に25%以上の割増賃金を支払う

この規定自体は、法律どおりです。誤りではありません。

問題は、この書き方には「週40時間」の視点が入っていないことです。割増賃金が発生するのは1日8時間を超えたときだけではありません。1日ごとには8時間に届かなくても、その週の実労働時間の合計が40時間を超えれば、超えた部分には25%の割増賃金が必要です。

日単位の集計では、アラートが鳴らない

たとえば、1日7時間・週5日勤務(週35時間)のパート職員がいるとします。ある週、別の職員が急に休んだため、この方に6日目も入ってもらいました。

この週の労働時間は7時間×6日=42時間です。しかし1日ごとに見れば、どの日も7時間で8時間に届いていません。日単位のタイムカード集計では、時間外労働が1分も出てきません。実際には40時間を超えた2時間分について、25%の割増賃金が必要です。

給与計算システムの設定を「1日8時間超=時間外」だけにしている場合、この2時間は永久に拾われません。しかも1回きりではなく、シフトが変わるたびに、職員ごとに発生します。

就業規則を守っているつもりで、規定に書かれていない部分が抜け落ちる。これが実務で起きていることです。

厚生労働省が公表している是正事例

これは推測ではありません。厚生労働省が令和6年の監督指導結果とあわせて公表した是正事例に、次のケースが掲載されています(業種:社会福祉施設)。

労働基準監督署が立入調査を行ったところ、この事業場では1週間について40時間を超える時間外労働に対する割増賃金が支払われていなかったことが確認され、労働基準法37条1項違反として是正勧告を受けています。同じ事案では、割増賃金の基礎に算入すべき手当(職能手当等)を除外して計算していたことも指摘されました。事業場は過去にさかのぼって再計算し、差額を追加で支払っています。

保健衛生業は、賃金不払で指導を受ける労働者数が全業種2位

同じ資料の業種別データを見ると、令和6年に労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案のうち、保健衛生業(病院・診療所・社会福祉施設等)の対象労働者数は44,585人で、製造業(46,120人)に次ぐ2位、全体の24%を占めています。金額でも25.6億円で2位、件数でも3,416件で3位です。

ここで注意していただきたいのは、この統計は不払いの原因別の内訳を示していないということです。週40時間の見落としがこの数字のどれだけを占めるのかは、公表されていません。ただし、保健衛生業が賃金不払の指導対象として上位にある業界であること、そして厚生労働省が是正事例としてわざわざ社会福祉施設の週40時間超のケースを選んで公表していることは、事実として押さえておく価値があります。

逆に、「所定を超えたら125%」と定めている場合

ここまでとは反対のケースにも触れておきます。就業規則や雇用契約で「所定労働時間を超えた分は25%割増」と定めている事業所です。

これは法律を上回る取り扱いなので、違法ではありません。ただし、一度定めると、簡単には元に戻せません。

労働契約法では、使用者が労働者と合意することなく、就業規則を変更して労働者に不利益な労働条件に変更することは、原則としてできないとされています(労働契約法9条)。例外的に変更が認められるのは、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ変更が合理的である場合に限られます。合理性は、労働者が受ける不利益の程度、変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などから判断されます(同法10条)。

賃金に関する変更は、労働者の生活に直接影響するため、慎重な判断が求められる領域です。「本来は法律上払わなくてよかったのだから、来月から設定を直せばよい」という進め方は避けてください。まず現在の就業規則と雇用契約書に何と書いてあるかを確認し、変更を検討する場合は、労働局や顧問社労士に相談したうえで手順を踏むことをお勧めします。実際の手順とリスクは、固定残業代を廃止する場合の手順と不利益変更の実務で具体的に解説しています。

週40時間をどう数えるか——起算日・重複・有給がある週

ここが実務の中心です。手順は4つです。

手順1|週の起算日を決める

まず「1週間」をどこから数え始めるかを決めます。就業規則などで定めていれば、その曜日が起算日です。定めがない場合は、日曜日から土曜日までの暦週として扱われます(昭和63年1月1日基発第1号)。

起算日は、割増賃金が出るかどうかに直結します。土曜診療のあるクリニックや、土日にシフトが入る介護事業所では、起算日が日曜か月曜かで同じ勤務が別の週に振り分けられ、40時間を超えたり超えなかったりします。給与計算の締めは月曜起算なのに就業規則には定めがない、という食い違いも起きがちです。定めていない事業所は、就業規則に1行加えてください。

手順2|先に「1日8時間超」を拾う

その週の各日について、8時間を超えた時間があれば先に抜き出します。この時間は法定外残業(125%)として確定します。

手順3|週の実労働時間を合計する

次に、その週に実際に働いた時間を合計します。このとき、手順2で拾った「1日8時間を超えた分」は合計から除きます。同じ時間を、日と週の両方で二重に割増計算しないためです。

手順4|40時間を超えた分を出す

手順3の合計が40時間を超えていれば、超えた分が法定外残業(125%)です。

順序は必ず「日から週へ」です。逆にすると、二重計上か計算漏れのどちらかが起きます。

実際に計算してみる

訪問看護ステーションのパート職員を例にします。所定労働時間は1日7時間・週5日(週35時間)、時給1,500円。週の起算日は日曜日と定めています。

同じ職員・同じ週の比較図。実働42時間の週は2時間が125%、月曜が有給で実働35時間の週は割増なし

ケースA|欠員の穴埋めで、6日目に出てもらった週。月曜から土曜まで、毎日7時間ずつ働きました。1日8時間を超えた日はないので、手順2で拾う時間はゼロです。週の実労働時間は42時間で、40時間を2時間超えています。

  • 40時間まで:1,500円×40時間(100%)
  • 超過2時間:1,500円×1.25×2時間=3,750円

日ごとに見れば、すべて7時間で8時間に届いていません。タイムカードを日単位で集計しているだけでは、この2時間は出てきません。

ケースB|同じ週に、月曜が年次有給休暇だった場合。火曜から土曜まで7時間ずつ働き、月曜は有給休暇を取得しました。

年次有給休暇を取得した日は、賃金は支払われますが、実際には働いていません。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。週40時間の判定に使うのは実労働時間なので、有給の日は合計に入れません。

この週の実労働時間は35時間で、40時間を超えていません。土曜日の7時間も含めて、すべて時給どおり(100%)で足ります。割増賃金は発生しません。

ここが「払い過ぎ」の起きやすい箇所です。有給分の7時間を足して「週42時間だから2時間は125%」と計算してしまう例があります。勤怠管理システムが有給を「7時間労働」として自動集計している場合も、同じことが起きます。

半日単位の有給も考え方は同じです。午前半休を取って午後から働いた日は、実際に働いた時間だけを数えます。欠勤した日、所定休日で働かなかった日も同様です。なお、有給休暇そのものの数え方(1日と半日の区別)は、午前診療日の有給を1日と数えるか半日と数えるかで整理しています。

※この計算例では、年次有給休暇の日の賃金を「通常の労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」(7時間×1,500円)と就業規則で定めている前提としています。年次有給休暇の日の賃金は、就業規則の定めにより、平均賃金・通常の賃金・標準報酬日額のいずれかで支払うこととされています(労働基準法39条9項)。どの方式を採っていても、その日を週40時間の計算に入れない点は変わりません。

小規模の事業所なら、ここまでで足ります

すべての職員のシフトを毎週手計算するのは現実的ではありません。完璧な仕組みより、続けられる仕組みを作ってください。

  1. 就業規則に週の起算日を明記する。まずここからです。1行で済みます。
  2. 「週40時間に近づく可能性がある職員」だけをリストにする。所定が週30時間を超える職員、または週5日以上入っている職員が対象です。週20時間程度の職員は、よほどの臨時出勤がない限り40時間には届きません。
  3. リストの職員だけ、月末に週ごとの実労働時間を確認する。数えるのは実際に働いた時間だけです。有給・欠勤の日は0時間として扱います。
  4. 臨時でシフトを増やした週は、その場で印をつけておく。後から探すより確実です。

給与計算システムを使っている場合は、「週40時間超」を判定する設定があるかどうかを一度確認してください。設定が「1日8時間超」だけになっていれば、ケースAは拾えません。

よくある質問

Q1.「契約より長く働いたのに割増がつかないのはおかしい」と職員から言われました

法定内残業であれば、割増賃金の支払義務はありません。ただし、職員の側からは「残業したのに時給が変わらない」と見えるため、不信感につながりやすい部分です。

説明のポイントは2つです。1つは、割増の基準が契約時間ではなく法律上の上限(1日8時間・週40時間)であること。もう1つは、働いた時間分の賃金はきちんと支払っていることです。雇用契約書と就業規則に、所定を超えた場合の取り扱いを明記しておくと、説明がしやすくなります。

Q2.残業時間を15分単位で切り捨てて計算していますが、問題ありますか

労働時間は1分単位で把握するのが原則です。1日ごとに一定時間未満を切り捨てて、その分の賃金を支払わない扱いは認められていません。「30分未満の残業は申請させない」といった運用も同様です。

例外として、1か月における時間外労働・休日労働・深夜業のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理は認められています(昭和63年3月14日基発第150号)。あくまで月の合計に対する処理であり、日ごとの切り捨てとは別のものです。なお、切り上げる方向の処理は問題ありません。

Q3.他の事業所と掛け持ちしている職員がいます。労働時間は通算しますか

通算します。労働基準法38条1項は、労働時間は事業場を異にする場合でも通算すると定めており、この「事業場を異にする場合」には事業主が異なる場合も含まれます(昭和23年5月14日基発第769号)。訪問看護ステーションや訪問介護事業所では、複数事業所を掛け持ちする職員が珍しくありません。

どちらの事業所が割増賃金を負担するかについて、厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインは、通算した結果として法定労働時間を超える部分のうち、自らが労働させた時間について、その使用者が割増賃金を支払うという考え方を示しています。

実務に置き換えると、こうなります。自院・自事業所が後からシフトを追加したり勤務を延長したりしたことで、通算の労働時間が週40時間を超えたのであれば、その超過分の割増賃金は自院・自事業所が負担します。「本業ではないから関係ない」とはなりません。

なお、所定労働時間どうしを通算する場合は労働契約を締結した順序で、所定外労働時間は実際に労働が行われた順序で通算します。まずは職員が掛け持ちをしているかどうかを把握することが出発点です。就業規則に副業・兼業の届出制を定めておく方法があります。移動時間や待機時間をどこから労働時間として数えるかは、訪問介護・看護の労働時間の考え方もあわせてご確認ください。

Q4.法定内残業の分を、あらかじめ基本給や手当に含めておくことはできますか

理屈のうえでは可能ですが、注意が必要です。賃金のうちどの部分が通常の労働時間の対価で、どの部分が残業の対価なのかが区別できる形になっていなければ、残業代を支払ったとは認められない可能性があります。何時間分に相当するのかも明確にしておく必要があります。

時給制のパート職員の場合、そもそも時給×労働時間で計算するのが最も分かりやすく、トラブルも起きにくい方法です。手当に含める方式を検討するのであれば、就業規則の作り込みが必要になるため、事前に専門家に相談することをお勧めします。

Q5.所定休日に出勤してもらった場合はどうなりますか

週1日の法定休日に働いた場合は、35%以上の割増賃金が必要です。一方、週休2日制のもう1日(所定休日)に働いた場合は、休日労働の割増は不要です。

ただし、所定休日の労働時間は週40時間の計算に含めます。前章のケースAが、まさにこの形です。「休日出勤だけれど法定休日ではないから割増なし」で終わらせず、週の合計を確認してください。

Q6.残業が多い月は、割増率が変わることがありますか

あります。法定外残業が1か月60時間を超えた部分については、割増率が50%以上になります(労働基準法37条1項ただし書)。以前は中小企業に猶予措置がありましたが、2023年(令和5年)4月1日からは中小企業にも適用されています。規模を理由とした例外はありません。

パート職員で月60時間を超える法定外残業が生じることは多くありませんが、訪問介護や訪問看護で人手不足が続き、特定の職員にシフトが集中している事業所では起こり得ます。就業規則の賃金規定が60時間超の割増率に対応しているかも、あわせて確認してください。

まとめ

パート・非常勤職員が所定労働時間を超えて働いた場合、その時間の賃金は原則として時給どおり(100%)です。25%の割増が必要になるのは、1日8時間を超えた部分と、週40時間を超えた部分に限られます。

注意していただきたいのは、多くの就業規則が「1日8時間」を基準に書かれており、週40時間の視点が抜けていることです。1日ごとには8時間に届かなくても、シフトの穴埋めで出勤が増えれば、週の合計は簡単に40時間を超えます。非常勤の比率が高い医療機関・介護事業所では、この判定が毎月、職員ごとに発生します。

まずは、就業規則に週の起算日が書かれているか、給与計算システムに週40時間の判定設定があるかを確認してください。この2つを押さえるだけで、見落としの多くは防げます。あわせて、賃金規定が月60時間超の割増率(50%以上)に対応しているかもご確認ください。

なお、労働時間と割増賃金のルールは、現在も見直しの議論が続いている分野です。この記事は執筆時点の法令に基づいていますので、実際の運用にあたっては、厚生労働省や都道府県労働局の最新情報をご確認ください。自院・自事業所の規程や個別のケースについて判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や顧問社労士など、専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

川西 隆之のアバター 川西 隆之 社会保険労務士

兵庫県川西市の川西隆之社労士事務所
クラウドツールを活用した労務のデジタル化を得意としています
(ジョブカン認定アドバイザー)

税理士事務所勤務平成22年3月~平成31年1月
社労士業補助平成22年3月~平成28年8月
社労士登録平成28年9月~
1984年3月9日生まれ。
兵庫(但馬)産まれ兵庫(但馬)育ち。川西市在住。
一人の妻と3人の子どもたち。

2005年社労士試験合格
2016年開業登録(岐阜県)
→2020年より兵庫県川西市にて開業

以下の事項に力を入れています。
・クラウド勤怠管理・給与計算を利用した勤怠管理・給与計算の効率化
→給与計算に必要な時間の圧倒的な削減

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→代行することなく自社での管理・申請が容易に可能

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→疑問点があれば、その都度の相談可能

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