介護離職防止支援コースは、職員が家族の介護をしながら働き続けられるよう支援に取り組んだ事業主に支給される助成金です。職員本人が雇用保険から受け取る「介護休業給付金」とは別の制度で、申請して受け取るのは事業主です。対象になるのは、中小企業に当たる事業主に限られます。
育児と違い、家族の介護はある日突然始まります。そのため、このコースで受給できるかどうかは、職員から申出を受ける前に就業規則などを整えているかで決まる部分が大きくなります。
この記事では、医療機関・介護事業所を前提に、4つの区分と2つの加算の要件・支給額と、突然の介護に間に合わせるための準備を整理します。育児に関するコースは、医療機関・介護事業所が両立支援等助成金を使えるかの記事で扱っています。
介護離職防止支援コースとは
介護離職防止支援コースは、厚生労働省の両立支援等助成金のコースの一つです。職員の介護休業の取得と職場復帰、介護のための両立支援制度の利用、休業中の業務を代替する体制づくりなどに取り組んだ中小企業の事業主に支給されます。申請先は、本社など人事労務管理を担う部署がある事業所を管轄する、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
令和8年度(2026年度)は、4つの区分と2つの加算で構成されています。
| 区分 | どんな場合か | 支給額 |
|---|---|---|
| 介護休業 | プランに沿って連続5日以上の介護休業を取得させ、職場に復帰させた場合 | 40万円(連続15日以上の休業は60万円) |
| 介護両立支援制度 | 介護のための短時間勤務などの制度を導入し、職員が利用した場合 | 20万円〜40万円 |
| 業務代替支援 | 介護休業中・短時間勤務中の職員の業務を代替する体制を整えた場合 | 3万円〜30万円 |
| 介護休暇制度有給化支援 | 時間単位で取れる有給の介護休暇制度を導入し、利用があった場合 | 30万円(10日以上の制度は50万円) |
| 有期雇用労働者加算 | 介護休業・介護両立支援制度の対象者が有期契約の職員の場合 | 10万円 |
| 環境整備加算 | 研修など4つの取組をすべて実施した場合 | 10万円 |
介護休業・介護両立支援制度・業務代替支援は、それぞれ1事業主につき5人までが対象です。介護休暇制度有給化支援と各加算は、1事業主につき1回限りです。
令和8年度は、介護休暇制度有給化支援と有期雇用労働者加算が新設されました。一方、介護両立支援制度の対象からは、所定外労働の制限制度と深夜業の制限制度が外れ、介護休暇の制度は独立した区分(介護休暇制度有給化支援)に移っています。前年度の情報をもとに準備している場合は、対象の制度が変わっている点に注意してください。
対象になるかの判定
このコースを使えるのは、中小企業に当たる事業主だけです。まず、自社が中小企業に当たるかを確認します。
医療・介護福祉は「サービス業」の基準で判定する
医療機関や介護事業所は、「サービス業」の基準で中小企業かどうかを判定します。次のいずれか一方を満たせば、中小企業に当たります。
- 資本金または出資の総額が5,000万円以下
- 常時雇用する労働者が100人以下
人数は、2か月を超えて雇用され、週の所定労働時間が正職員とおおむね同じ職員だけで数えます。短時間勤務のパート職員は含めません。事業所ごとではなく法人全体で数え、判定の時点は支給申請をする月の初日です。法人の形態ごとの当てはめ方は、医療機関・介護事業所が両立支援等助成金を使えるかの記事で詳しく解説しています。
すべての区分が中小企業のみ
育児に関するコースでは、令和8年度の改正で、中小企業に当たらなくても常時雇用300人以下の「特定事業主」であれば使える区分が加わりました。また、育休中等業務代替支援コースの手当支給等は、規模の要件がなくなりました。
介護離職防止支援コースには、こうした区分はありません。業務代替支援の手当支給等を含め、4つの区分と2つの加算のすべてが、中小企業の事業主に限られます。フルタイム相当の職員が100人を超え、資本金の基準も使えない事業主(出資持分のない医療法人や社会福祉法人など)は、このコースを使えません。
ただし、助成金の対象にならない事業主でも、2025年4月の育児・介護休業法の改正で義務になった介護関連の措置(介護に直面した職員への個別の周知・意向確認、40歳等の時点での情報提供、雇用環境の整備)は、規模に関係なく必要です。
申請の前提:就業規則と方針の周知
どの区分で申請する場合も、共通して満たしておく前提が2つあります。
就業規則への規定は「休業等が始まる前」に
次の2つの制度を、対象の職員の休業や制度の利用が始まる前に、就業規則に規定しておく必要があります。
- 介護休業の制度
- 介護のための所定労働時間の短縮等の措置(短時間勤務、時差出勤など)
規定は、「育児・介護休業法に準拠する」と書くだけでは足りず、制度の内容を具体的に定める必要があります。また、その内容は、支給申請日の時点で施行されている法律の水準を満たしていなければなりません。育児・介護休業法は改正が続いているため、改正に合わせて規程を更新しておくことが前提になります。
常時10人未満の職員を雇用する事業所で、就業規則の作成・届出の義務がなく作成していない場合は、制度の内容を書面で明文化し、全職員に周知していることを示す書類で足ります。
支援の方針の周知は「休業と同時並行」でも可
「仕事と介護の両立支援プラン」によって、介護休業の取得・職場復帰と、介護両立支援制度の利用を支援するという方針を、全職員に周知しておく必要があります。周知の方法は、就業規則に定めるか、方針を書いた文書を配布・掲示するなどです。
周知の期限は、原則として対象の職員の休業や制度の利用が始まる日の前日までです。ただし、介護が突然始まることを踏まえ、休業等の開始と同時並行で行うことも認められています。休業等が終わった後に周知した場合は、対象になりません。
なお、育児に関するコースで必要だった次世代法の「一般事業主行動計画」は、このコースでは要件になっていません。
区分別:どんな場合に申請でき、いくらか
ここからは、4つの区分と2つの加算について、どんな場合に申請でき、いくら支給されるかを整理します。金額はいずれも2026年度(令和8年度)のものです。支給額や要件は年度ごとに見直されるため、申請の際は最新の支給要領と手引きで確認してください。
介護休業
職員と面談して「仕事と介護の両立支援プラン」を作り、プランに沿って業務の整理・引き継ぎを行ったうえで、職員に介護休業を取得させ、職場に復帰させた場合に使える区分です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 40万円(所定労働日で連続15日以上の休業は60万円) |
| 対象人数 | 1事業主5人まで(同じ職員の同じ家族についての介護休業は1回限り) |
| 主な要件 | 連続5日以上(所定労働日で数える)の介護休業を取得させること。復帰後にフォロー面談を行い、原則として原職等に復帰させ、3か月以上雇用を続けること |
| 申請期限 | 休業の終了日の翌日から3か月を経過した日の翌日から2か月以内 |
プランの作成時期
プランは原則として休業の開始前に作りますが、休業期間中に作ることも認められています。ただし、プランの作成や面談が休業の終了後になった場合は、対象になりません。職員が急に休むことになった場合でも、休業中に面談とプランの作成を済ませる必要があります。
復帰後の3か月
復帰後3か月の間に、実際に就業した日数が、就業を予定していた日数の5割に満たない場合は対象外です。介護の状況によっては、復帰後も休みが続くことがあるため、復帰の時期は本人と相談して決めてください。
医療機関・介護事業所で使うときのポイント
連続5日・連続15日は、暦日ではなく所定労働日で数えます。シフト勤務の職場では、休業期間に公休日が多く入ると、所定労働日での日数が足りなくなることがあります。休業期間を決める際は、勤務シフト表と照らし合わせてください。
介護両立支援制度
介護をしながら働き続けるための制度を導入し、職員がプランに沿って利用した場合に使える区分です。対象になるのは、次の5つの制度です。
- 時差出勤(1日の所定労働時間を変えずに、始業・終業の時刻を1時間以上繰り上げ・繰り下げる制度)
- 介護のための短時間勤務(1日の所定労働時間を1時間以上短くする制度)
- 介護のための在宅勤務
- 介護のためのフレックスタイム制度
- 介護サービス費用の補助
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 制度を1つ導入し、利用があった場合20万円(利用60日以上は30万円)。制度を2つ以上導入し、利用があった場合25万円(利用60日以上は40万円) |
| 対象人数 | 1事業主5人まで(同じ職員は、異なる制度で合計2回まで) |
| 主な要件 | 制度を就業規則に定めたうえで、利用開始から1年以内に合計20日以上利用させること(費用補助は、6か月間に本人負担の5割程度以上または10万円以上を補助すること)。利用後1か月以上、雇用を続けること |
| 申請期限 | 利用が20日(または60日)に達した日の翌日から1か月を経過した日の翌日から2か月以内 |
制度の規定と、面談・プランの作成は、利用開始日の前日までに行うのが原則です。プランは、利用期間中の作成も認められています。
医療機関・介護事業所で使うときのポイント
- シフト勤務の職場で導入しやすいのは、時差出勤と短時間勤務です。在宅勤務は、患者や利用者への直接のケアを担う職種では導入しにくい制度です。
- 令和8年度の改正で、所定外労働の制限と深夜業の制限は、この区分の対象から外れました。ただし、家族を介護する職員が請求した場合に事業主が原則として応じなければならないという、法律上の義務は変わりません。
- 令和8年4月7日までに制度の利用を開始した職員については、改正前の要件が適用されます。
業務代替支援
介護休業中や介護のための短時間勤務中の職員の業務を、ほかの人が代わりに担う体制を整えた場合に使える区分です。代わりの人を新たに確保する「新規雇用」と、今いる職員に手当を払って代替させる「手当支給等」に分かれます。
| 区分 | 新規雇用 | 手当支給等(介護休業) | 手当支給等(短時間勤務) |
|---|---|---|---|
| 支給額 | 20万円(連続15日以上の休業は30万円) | 5万円(連続15日以上の休業は10万円) | 3万円 |
| 対象になる休業等 | 連続5日以上の介護休業 | 連続5日以上の介護休業 | 合計15日以上の短時間勤務 |
| 申請期限 | 休業の終了日の翌日から2か月以内 | 休業の終了日の翌日から2か月以内 | 短時間勤務の終了日の翌日から2か月以内 |
対象人数は1事業主5人までで、同じ職員の同じ家族については、介護休業と短時間勤務でそれぞれ1回限りです。
新規雇用の主な要件
- 代わりの人を、新たな雇い入れか派遣で確保していること
- 代わりの人の契約の始期が、事業主が家族の要介護の事実を知った日と、休業開始日の6か月前の、いずれか遅い日以降であること
- 代わりの人が、原則として休業者と同じ事業所・部署で勤務し、所定労働時間が休業者の2分の1以上であること
- 代わりに勤務した期間が、休業期間の8割以上であること
- 休業者が看護師など資格が必要な業務をしていた場合は、代わりの人も有資格者であること
手当支給等の主な要件
- 業務を代替する職員が、事業主が要介護の事実を知った日以前から雇われている職員であること
- 業務の見直し(一部の休止・廃止、手順の見直し、マニュアル化のいずれか)と、代替する職員への面談での説明を行うこと
- 代替業務に対する手当(業務代替手当など)を就業規則に定めること。この手当は、代替する業務の内容を評価して払うもので、労働時間に応じて払う賃金ではないこと
- 手当によって、代替する職員の賃金を、1日500円以上または1か月1万円以上のいずれか低い方の額以上増やすこと(短時間勤務の代替は、1日150円以上または1か月3千円以上)
業務の見直しと面談での説明、手当の規定は、いずれも業務の代替が始まる日の前日までに済ませておく必要があります。
医療機関・介護事業所で使うときのポイント
育児に関するコースの手当支給等は、代替した職員に払った手当の3/4を助成する仕組みでした。介護のコースの手当支給等は、手当の額にかかわらず定額(5万円・10万円・3万円)です。育児のコースと同じ感覚で手当の額を設計すると、事業所の持ち出しが想定より大きくなるため注意してください。
介護休暇制度有給化支援
家族の介護や通院の付き添いなどに使える「介護休暇」を、有給で、時間単位で取れる制度にし、職員が実際に利用した場合に使える区分です。令和8年度に新しく設けられました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 30万円(10日以上の有給の休暇とする場合は50万円) |
| 支給回数 | 1事業主につき1回限り |
| 主な要件 | 令和8年4月8日以降に、次の条件を満たす介護休暇制度を就業規則に規定すること。支給申請日の時点で、制度を合計10時間以上利用した職員が在籍していること |
| 申請期限 | 利用時間が10時間に達した日の翌日から2か月以内 |
対象になる介護休暇制度の条件は、次の3つです。
- 有給であること(年次有給休暇とは別に、年休を取った場合と同等の賃金を払うもの)
- 時間単位で取得でき、始業の時刻から連続せず、終業の時刻まで連続しない形(いわゆる「中抜け」)でも取れること
- 1日の所定労働時間を変えずに利用できること
10時間の利用は、同じ事業所で働く配偶者や親族が同じ休暇を取った時間と合算することもできます。一方、令和7年度以前に、旧制度の「介護休暇制度」で助成金を受給した事業主は対象外です。
申請の際は、有給化する前と後の両方の規程を提出します。もともとの(無給の)介護休暇の規定が確認できない場合は対象にならないため、改定の前後がわかる形で規程を残しておいてください。
医療機関・介護事業所で使うときのポイント
中抜けを認めると、勤務の途中で職員が抜け、戻ってくる運用を組む必要があります。シフト勤務の職場で導入する場合は、抜けた時間を誰がどう補うかを、制度を規定する前に現場と確認しておくことをおすすめします。
加算:有期雇用労働者加算と環境整備加算
有期雇用労働者加算(10万円・1事業主1回限り)
介護休業または介護両立支援制度の対象職員が有期契約の職員である場合に、支給額に10万円が加算されます。休業等を始める日の前日までの6か月間、無期雇用の職員として雇用していなかったことが条件です。令和8年度に新しく設けられました。
環境整備加算(10万円・1事業主1回限り)
介護休業・介護両立支援制度・業務代替支援のいずれかで申請する事業主が、次の4つの取組をすべて実施した場合に、10万円が加算されます。
- 介護休業等に関する研修の実施(少なくともすべての管理職が対象)
- 相談窓口の設置と、全職員への周知
- 自社の介護休業等の取得・利用事例の収集と、全職員への提供(自社に事例がない場合は、厚生労働省のパンフレットの事例で代えられる)
- 介護休業等に関する制度と、取得・利用を促進する方針の全職員への周知
研修は支給申請日までに実施すれば足ります。残りの3つは、介護休業等の開始日までに実施しておく必要があります。
法律上の義務との違い
2025年4月から、育児・介護休業法により、すべての事業主に介護離職防止のための雇用環境整備が義務づけられています。義務の内容は、上の4つと同じ種類の措置のうち、いずれか1つ以上を講じることです。
| 項目 | 法律上の義務(2025年4月〜) | 環境整備加算 |
|---|---|---|
| 対象 | すべての事業主 | このコースで申請する中小企業の事業主 |
| 必要な措置の数 | 4つのうち1つ以上 | 4つすべて |
| 期限 | 施行日から常に講じておく | 研修は支給申請日まで、ほかの3つは介護休業等の開始日まで |
法律の義務を満たすために1つの措置だけを講じている事業主は、残りの措置を加えれば加算の要件に届きます。厚生労働省や労働局は、方針の周知や相談窓口の周知に使えるひな形、研修用の動画などを公開しています。義務への対応を見直す機会に、4つをそろえておくと、加算の要件を満たせます。
どの区分の対象になるか判断がつかない場合は、申請代行のご依頼についてにまとめています(顧問契約がなくてもお受けしています)。
家族の介護を把握したら、申請までに何をいつやるか
介護は、出産のように何か月も前から予定がわかるものではありません。親が倒れた、急に入院したといった事情で、職員からの申出は「明日から休ませてほしい」という形で来ることも少なくありません。
このコースは、介護が突然始まる性質に合わせて、一部の手続きを休業と同時並行で行うことを認めています。一方で、休業等が始まる前に済ませていないと対象にならないものもあります。この章では、その2つを時期ごとに切り分けて整理します。

平時に整えておくもの(申出を受けてからでは間に合わない)
次の項目は、職員から申出を受ける前に整えておく必要があります。
| やること | 対象の区分 | 期限 |
|---|---|---|
| 介護休業と、介護のための所定労働時間の短縮等の措置を、法律の水準を満たす形で就業規則に規定する | すべての区分 | 休業・制度利用の開始前 |
| 使う予定の介護両立支援制度(時差出勤、短時間勤務など)を規定する | 介護両立支援制度 | 制度の利用開始日の前日まで |
| 代替業務に対する手当(業務代替手当など)を規定する | 業務代替支援(手当支給等) | 業務代替の開始日の前日まで |
| 有給で、時間単位(中抜け可)で取れる介護休暇を規定する | 介護休暇制度有給化支援 | 令和8年4月8日以降に規定(利用の前) |
| 相談窓口の周知、取得事例の提供、方針の周知 | 環境整備加算 | 介護休業等の開始日まで |
| 雇用環境整備(4つの措置のうち1つ以上)と、40歳等での情報提供 | 法律上の義務 | 常に講じておく |
就業規則の改定には、案の作成、職員代表の意見聴取、労働基準監督署への届出、職員への周知といった手順が必要です。申出を受けてから始めても、休業の開始には間に合いません。
介護を把握したときにやるもの(休業と同時並行でも間に合う)
職員から家族の介護について申出や相談を受けたら、次の手続きに入ります。
休業等と同時並行でも間に合うもの
- 支援の方針の周知:まだ済ませていない場合は、この時点で行います。休業等の開始と同時並行でもかまいません。
- 面談とプランの作成:職員と面談し、業務の整理・引き継ぎなどを定めた「仕事と介護の両立支援プラン」を作ります。休業中・制度の利用中に作ることも認められています。
ただし、どちらも休業等が終わった後に行った場合は対象外です。「同時並行でもよい」は「後回しでもよい」という意味ではありません。
把握したら、すぐ必要なもの
- 法律上の個別の周知・意向確認:介護に直面した旨の申出を受けた事業主は、介護休業や両立支援制度の内容、申出先、介護休業給付金について個別に伝え、利用の意向を確認する義務があります。助成金の要件ではありませんが、同じ場面で必要になる手続きです。
- 要介護状態を確認できる書類の準備:申請の際には、家族が要介護状態であることを確認できる書類が必要です。介護保険の被保険者証のほか、医師の証明書類、自治体への要介護認定の申請書、事業主と職員の連名による申立書なども例示されています。要介護認定の結果が出る前でも、対象になり得ます。
介護のコースでも「開始の前」が期限のもの
このコースでも、業務代替支援は同時並行が認められていません。
- 手当支給等:業務の見直しと、代替する職員への面談での説明は、業務代替の開始日の前日までに済ませる必要があります。手当の規定も同じです。
- 新規雇用:代わりの人の雇用契約の始期は、事業主が要介護の事実を知った日と、休業開始日の6か月前のいずれか遅い日以降である必要があります。
職員が急に休むことになった場合は、プランの作成より先に、業務代替の準備を済ませる段取りにしておくと取りこぼしを防げます。
休業中と復帰後:申請期限の管理
申請期限は、区分ごとに異なります。期限の早い順に並べると次のとおりです。
| 区分 | 申請期限 |
|---|---|
| 業務代替支援(介護休業の代替) | 介護休業の終了日の翌日から2か月以内 |
| 業務代替支援(短時間勤務の代替) | 短時間勤務の終了日の翌日から2か月以内 |
| 介護休業 | 介護休業の終了日の翌日から3か月を経過した日の翌日から2か月以内 |
| 介護両立支援制度 | 利用が20日(または60日)に達した日の翌日から1か月を経過した日の翌日から2か月以内 |
| 介護休暇制度有給化支援 | 利用が10時間に達した日の翌日から2か月以内 |
同じ職員について介護休業と業務代替支援の両方を申請する場合、業務代替支援の期限が先に来ます。介護休業の申請期間が始まる前に、業務代替支援の申請期限が過ぎてしまうことがあるため、別々に管理してください。
郵送で申請する場合も、期限は労働局への到達日で判断されます。消印の日付が期限内でも、到達が期限を過ぎていれば受け付けられません。
準備が間に合わなかった場合
休業等の開始前に就業規則が整っていなかった場合や、面談・プランの作成が休業の終了後になった場合は、その職員の休業・制度利用は対象になりません。
ただし、介護は長く続くことが多く、休業の後に短時間勤務などの制度を使う場面も出てきます。その時点までに規程とプランを整えれば、介護両立支援制度の区分は対象になり得ます。そして、次に申出を受ける職員に備えるには、上の「平時に整えておくもの」を今のうちに整えておくことが最も確実です。
よくある質問
介護休業給付金とは何が違いますか。
受け取る人と目的が違います。
- 介護休業給付金:介護休業を取った職員本人が、雇用保険から受け取るものです。休業中の収入を補うための給付で、原則として休業開始時の賃金日額×支給日数の67%が、対象家族1人につき通算93日(3回まで)を限度に支給されます。
- この助成金:介護休業の取得や両立支援に取り組んだ事業主が、労働局から受け取るものです。
同じ職員の同じ休業について、給付金の手続き(ハローワーク)と助成金の申請(労働局)が並行して発生します。給付金の支給額には上限があり、上限額は毎年8月に見直される場合があります。
職員が100人を超える法人は使えませんか。
規模によっては使えません。このコースは、中小企業に当たる事業主だけが対象です。医療機関・介護事業所の場合、フルタイム相当の職員が100人以下か、資本金・出資の総額が5,000万円以下であれば中小企業に当たります。
どちらにも当たらない場合は、このコースのどの区分も使えません。育児に関するコースと違い、規模を問わず使える区分はありません。
家族の要介護認定の結果が出る前でも、対象になりますか。
対象になり得ます。このコースでいう「要介護状態」は、介護保険の要介護認定の結果ではなく、育児・介護休業法の定義(負傷や疾病などにより、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)によります。
申請の際に家族の状態を確認する書類として、介護保険の被保険者証のほか、医師の証明書類、自治体への要介護認定の申請書、事業主と職員の連名による申立書も例示されています。
シフト勤務の職場でも、介護休暇を中抜けで取れる制度にしなければなりませんか。
法律上は、中抜けを認める義務はありません。育児・介護休業法が求めているのは、介護休暇を時間単位で、始業の時刻から連続して、または終業の時刻まで連続して取れるようにすることです。中抜けは、認めるよう配慮することが望ましいとされるにとどまります。
一方、この助成金の「介護休暇制度有給化支援」を受けるには、有給で、中抜けも認める制度にする必要があります。助成を受けるかどうかで、必要な制度の内容が変わる点に注意してください。
社会保険労務士に頼まずに、自社で申請できますか。
できます。事業主が自ら申請でき、電子申請(雇用関係助成金ポータル)も利用できます。
ただし、このコースには、就業規則や代替手当の規定のように「休業等の開始前」が期限の要件と、区分ごとに異なる申請期限があります。職員ごとに期限を管理できる体制を整えておくことが前提になります。
まとめ
介護離職防止支援コースは、介護が突然始まる性質に合わせて一部の手続きに猶予を認めつつ、平時の整備を前提にした制度です。この記事の要点は次の4つです。
- このコースは、中小企業に当たる事業主だけが対象です。医療機関・介護事業所は、資本金・出資の総額が5,000万円以下、またはフルタイム相当の職員が100人以下であれば中小企業に当たります。育児に関するコースと違い、規模を問わず使える区分はありません。
- 介護休業、介護両立支援制度、業務代替支援、介護休暇制度有給化支援の4つの区分と、2つの加算があります。2026年度は介護休暇制度有給化支援と有期雇用労働者加算が新設され、所定外労働の制限と深夜業の制限は、介護両立支援制度の対象から外れました。
- 就業規則への規定、両立支援制度の規定、代替手当の規定と業務の見直しは、休業等の開始前が期限です。一方、方針の周知と、面談・プランの作成は、休業と同時並行でも間に合います(ただし休業等の終了後は対象外です)。
- 法律上の雇用環境整備は4つの措置のうち1つ以上で足りますが、環境整備加算は4つすべての実施が必要です。申請期限は区分ごとに異なり、業務代替支援の期限が最も早く来ます。郵送の場合も、期限は労働局への到達日で判断されます。
支給額や要件は、毎年度見直されます。申請の際は、厚生労働省の両立支援等助成金のページで、最新の支給要領と支給申請の手引きを確認してください。
個別の判断に迷う場合は、管轄の都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や、顧問の社会保険労務士に相談してください。
ここまでの手順で自社での対応が見通せるようでしたら、専門家への相談は必要ありません。
判断に迷うのは、たいてい「自社の介護休業規程が、申請の時点の法律の水準を満たしているか」「急な申出を受けたとき、業務代替の準備と面談・プランの作成をどの順で進めるか」といった、規程の文面と職員ごとの状況を突き合わせないと決まらない部分です。当事務所では、医療機関・介護事業所の事業者さまから、介護離職防止支援コースを含む両立支援等助成金について、申請の前提となる要件の確認から申請手続きまでをお引き受けしています。顧問契約がなくても、申請代行のみのご依頼が可能です。規程の見直しが必要な場合は、就業規則の作成・変更のみのご依頼も可能です。介護の申出は突然来ることが多いため、申出を受ける前の段階でご覧ください。


