別の市町村に施設を新設する。指定申請の準備は進めている。ここで抜け落ちやすいのが、労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所に対する手続きです。
採用も勤怠管理も給与計算も本社でまとめてやっているのだから、拠点が1つ増えても事務のやり方は変わらない。そう考えている法人ほど、手続きが漏れます。理由は単純で、「その拠点を1つと数えるか」の答えが、制度ごとに違うからです。
この記事では、介護事業所を1つ増やしたときに、何を本社にまとめられて、何がまとめられないのかを整理します。
拠点が1つ増えると、考えるべきことは3つ
結論から書きます。新しい施設を1つ作ると、次の3つの「単位」を考えなければなりません。そして、この3つはそれぞれ独立して検討する必要があります。
- 介護保険法の「事業所」 — 指定を受ける単位
- 労働基準法・労働安全衛生法の「事業場」 — 36協定、就業規則、安全衛生の単位
- 労働保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険の適用単位 — 保険料と資格の単位

労働基準法の事業場は、場所で決まる
行政解釈では、一つの事業場かどうかは主として場所的観念によって決定するとされています。同じ場所にあるものは原則として一つの事業場、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場です(労働安全衛生法の施行について)。安全衛生法の事業場の考え方も、労働基準法と同一とされています。
例外はあります。出張所や支所のうち、規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力から見て一つの事業場という程度の独立性がないものは、直近上位の組織と一括して一つの事業場として扱われます(労働基準法の施行に関する件)。
ただし、別の市町村に施設を新設する場合、この例外に当てはまることは通常考えにくいと言えます。職員が常駐し、そこで日々サービスが提供され、継続して運営される以上、場所的にも組織的にも独立していると評価されるためです。つまり労働基準法上、事業場は2つになります。ここは判断に迷う余地が小さい部分です。
介護保険法の「事業所」は、サービス提供の拠点ごと
一方、介護保険法による事業所の指定は、サービス提供の拠点ごとに行うのが原則です(宇都宮市)。
ただし一定の要件を満たす場合には、出張所等をサテライト事業所として本体事業所に含め、一体的なサービスの単位として指定を受けられます。その要件には、職員の勤務体制・勤務内容が一元的に管理されていること、人事・給与・福利厚生等の勤務条件による職員管理が一元的に行われていることが含まれます(厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1455)。
食い違いは、ここで生まれる
サテライトとして一体の指定を受けた法人は、「勤務体制も人事も一元管理していると認められた」と受け取ります。その理解は、介護保険法の世界では正しいものです。
ところが労働基準法の事業場は、場所が原則です。指定の上では一つでも、労働基準監督署から見れば別の事業場になり得ます。介護保険法が求める一体性と、労働基準法が測る事業場は、別の物差しなのです。
この記事で扱うのは、後者の物差しです。
労働保険は、まとめるために一度個別で立ち上げる
多くの法人が誤解するのはここです。「労働保険は本社で一括しているから、新しい施設で特にやることはない」——実際は逆で、まとめるための手続きが、まとめる前に1回増えます。
保険関係は、拠点ごとに成立する
労働保険の保険関係は、会社単位ではなく事業ごとに成立します。新しい施設で労働者を使い始めた日に、その拠点で法律上当然に保険関係が成立します。手続きをしたから成立するのではなく、先に成立していて、後から一括を届け出るという順序です。
保険関係成立届は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、新しい施設の所在地を管轄する労働基準監督署へ提出します。本社の所轄ではありません。別の市町村に施設を作れば、多くの場合これまで縁のなかった労働基準監督署が窓口になります。
一括申請は、番号を取ってから
継続事業の一括は、すでに別々に成立している保険関係を、後からまとめる制度です。制度の作り自体がそうなっているため、新拠点の保険関係を飛ばしていきなり本社に統合することはできません。
申請書(様式第5号)の提出先は、指定事業(本社)の所在地を管轄する労働基準監督署です。つまり、成立届は新拠点の所轄、一括申請は本社の所轄と、窓口が2か所にまたがります。
福島労働局は、成立届を出す段階で余白に指定事業の労働保険番号を記載し、一括申請の予定である旨を表示するよう案内しています。先に一括申請の意思を示しておくと、その後の処理が円滑になります。

医療と介護を併営していても、一括できる
一括の認可要件は次の4つです。
- 指定事業と被一括事業の事業主が同一であること(法人の場合は同一法人の支店・営業所等)
- それぞれが継続事業で、保険関係が成立していること
- それぞれの保険関係区分(一元適用か二元適用か等)が同じであること
- それぞれが労災保険率表による「事業の種類」を同じくすること
実務で判断に迷うのは4番目です。医療法人が病院と介護施設の両方を運営している場合、一括できないのではないかと考える方がいます。
結論としては、できます。労災保険率適用事業細目表では、医療業(9431)も社会福祉又は介護事業(9432)も、いずれも「その他の各種事業」という同一の事業の種類の中の細目として位置づけられています(厚生労働省 労災保険率適用事業細目表)。要件が求めているのは細目の一致ではなく事業の種類の一致なので、両者は同じ枠に収まります。
新拠点の保険料はどう扱われるか
一括の認可を受けると、被一括事業の保険関係は消滅します。成立届の際に付された新しい施設の労働保険番号も、認可とともに指定事業の番号に統合され、以後その拠点は整理番号で管理されます。新しい施設で単独に年度更新をすることはありません。
そのため、成立届を出す段階で一括申請の予定であることを伝えておく意味があります。実務では、窓口で口頭で伝える、郵送の場合は送り状に記載するといった対応も取られています。取扱いには所轄による違いもあるため、提出前に確認しておくのが確実です。
あわせて注意したいのが、指定事業側で保険料が増える点です。新しい施設の賃金は指定事業の賃金総額に合算されるため、拠点数が少ない段階での増設ほど、指定事業の賃金総額の見込額は大きく動きます。申告済みの見込額の2倍を超え、かつ概算保険料の差額が13万円以上になる場合は、増加が見込まれた日から30日以内に増加概算保険料の申告・納付が必要です。「一括したので事務が減った」と考えていると、この申告が抜けます。
一括されるのは、保険料の事務だけ
一括される範囲は労働保険料の申告・納付に関する事務に限られます。労災保険の給付請求や、雇用保険の被保険者の資格取得・喪失は、引き続きその施設の所在地を管轄する労働基準監督署・ハローワークで行います。「本社にまとめた」と考えて本社の所轄に出そうとすると、そこで止まります。
出し忘れると何が起きるか
成立手続きを行うよう指導を受けたにもかかわらず手続きをしない場合、行政庁の職権で成立手続きと保険料の認定決定が行われます。最大2年間さかのぼった労働保険料と、追徴金10%が徴収されます。
さらに、故意または重大な過失により成立届を出していない期間中に労働災害が起きて労災保険給付が行われた場合は、その給付額の40%または100%が事業主から徴収されます。指導を受けたのに出さなかった場合は故意として100%、指導は受けていないが適用事業となってから1年を経過していた場合は重大な過失として40%という運用です(厚生労働省)。
拠点を増やす局面は、この漏れが起きやすいタイミングです。1事業場目のときは「これから労働保険に入る」という意識がありますが、2つ目以降は「もう入っている」という感覚になるためです。
雇用保険と社会保険の一括は、労働保険とは別の申請
労働保険の一括が認可されると、「これで本社にまとまった」と考えたくなります。ところが、雇用保険も社会保険も、これに連動しません。それぞれ別の制度、別の要件、別の窓口です。
雇用保険は、拠点ごとに適用事業所となる
雇用保険は事業所単位で適用されるため、新しい施設で雇用保険の対象となる職員を雇い入れれば、その施設が適用事業所になります。雇用保険適用事業所設置届を、設置した日の翌日から起算して10日以内に、その施設を管轄するハローワークへ提出するのが原則です。
これを本社に寄せるための手続きが、雇用保険事業所非該当承認申請です。人事・経理・経営上の指揮監督や賃金の計算・支払等に独立性がなく、独立した事業所と認められない場合に、その施設を適用事業所として扱わず、組織上の上位にある事業所で雇用保険の事務を行う扱いにするものです。
提出先に注意が必要です。申請書は、非該当承認を受けたい施設を管轄するハローワークへ提出します。本社の管轄ではありません。申請書には事業所非該当承認申請調査書を添え、ハローワークの審査を受けます。
承認されるかどうかは、実態で決まる
中小規模の法人では、採用も勤怠管理も給与計算も経理も本社で行っているのが通常です。そうした実態であれば、施設に職員が常駐していても非該当承認を受ける運用は一般的です。承認の判断で重く見られるのは、建物の有無や常駐者の数ではなく、その施設に人事権や経営上の指揮監督権があるかどうかだからです。
ただし、この制度は事務の簡素化のために用意されたものではないという位置づけになっている点は押さえておく必要があります。非該当承認は、経営組織として独立性を有しない施設について一つの事業所として扱わないことを承認するものであり、事業主や行政の事務処理の便宜のために行うものではないと説明されています。申請理由を「事務簡素化のため」とだけ書いても通りません。
そのため、同じような実態でもハローワークによって判断が分かれることがあります。施設長にどこまでの裁量があるか、シフト決定権をどう評価するかといった部分で、聞き取りの深さが変わります。申請前に管轄のハローワークへ相談しておくのが確実です。
社会保険の一括適用は、さらに別の手続き
健康保険・厚生年金保険も事業所単位で適用されます。こちらを本社にまとめるには、一括適用承認を受けます。
承認を受けると、対象の事業所は適用事業所でなくなったものとみなされ、本社を一つの適用事業所として扱います(日本年金機構)。拠点間で職員が異動しても資格の取得・喪失の手続きが不要になるため、法人内で人事異動が多い場合は効果が大きい手続きです。
要件は、人事・労務・給与に関する事務が電子計算組織により集中的に管理され、事業主が行うべき事務が期間内に適正に行われること、資格取得届等を電子媒体または電子情報処理組織で行えること、健康保険の保険者が同一であることなどです。申請先は本社を管轄する年金事務所で、承認まで3か月程度かかるとされています。
「一括している」が何を指しているか
ここまでで、名前の似た3つの手続きが出てきました。
- 労働保険の継続事業の一括 — 労働保険料の申告・納付をまとめる
- 雇用保険の事業所非該当承認 — 被保険者に関する事務をまとめる
- 社会保険の一括適用承認 — 適用事業所そのものをまとめる
制度が違い、要件が違い、窓口が違います。労働保険を一括しても雇用保険の適用事業所の単位は一括されず、雇用保険の番号は各事業所に割り振られたままです。
拠点を増やす場面で確認したいのは、「うちは一括している」という認識が、このうちどれを指しているかです。3つのうち1つしか取れていない状態は珍しくありません。
一括しても、事業場は分かれたまま
ここまでの3つの一括をすべて取ると、保険の手続きは本社に集まります。ここで生じるのが、「うちは全部本社にまとまっている」という認識です。
これが最も危険な誤解です。労働基準法と労働安全衛生法上の事業場は、統合されません。保険の一括は保険の制度であって、労働条件と安全衛生の適用単位には何の影響も与えないためです。
施設ごとに発生し続けるもの
新しい施設が労働基準法上の事業場となった時点で、次の義務がその施設ごとに生じます。
| 義務 | 発生する規模 | 根拠 |
|---|---|---|
| 36協定の締結・届出 | 時間外・休日労働をさせる場合 | 労基法36条 |
| 過半数代表者の選出 | 労働組合がない事業場 | 労基法36条・90条 |
| 就業規則の作成・届出・周知 | 常時10人以上 | 労基法89条・106条 |
| 変形労働時間制の労使協定・就業規則の定め | 導入する場合 | 労基法32条の2等 |
| 労働者名簿・賃金台帳の備付け | 全事業場 | 労基法107条・108条 |
| 衛生推進者の選任 | 常時10人以上50人未満 | 安衛法12条の2 |
| 衛生管理者・産業医の選任、衛生委員会の設置 | 常時50人以上 | 安衛法12条・13条・18条 |
| 定期健康診断結果報告書の提出 | 常時50人以上 | 安衛則52条 |
人数はすべて事業場ごとに数えます。法人全体で100人いても、新設した施設が30人であれば、その施設は「常時50人未満」の事業場です。逆に、本社と合わせれば50人未満でも、施設単体で50人を超えれば産業医の選任が必要になります。
衛生推進者は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして労働者に周知します。労働基準監督署への報告は不要です(厚生労働省)。定期健康診断結果報告書は、常時50人以上の労働者を使用する事業者が、実施後遅滞なく所轄労働基準監督署長へ提出します(厚生労働省)。
就業規則は「作った」だけでは足りない
拠点を増やした法人で特に抜けるのが、就業規則です。
法人として立派な就業規則があっても、新しい施設の職員がいつでも内容を確認できる状態になっていなければ、その施設との関係では効力を持ちません。本社の金庫にある、あるいは施設長の個人ロッカーに入っている、という状態は周知として認められません。実際に、就業規則が担当者の個人ロッカーに保管されていた事案で、他の従業員が無断でロッカーを確認して閲覧することは通常想定できないとして周知性が否定され、1か月単位の変形労働時間制が適用されないと判断された裁判例があります。
介護事業ではシフト制と変形労働時間制を組み合わせるのが一般的です。周知が欠けていると、変形労働時間制そのものが崩れます。そうなると、法定労働時間を超えた分の割増賃金が未払いとして残ります。
毎年、拠点の数だけ繰り返される
もう一つ、拠点追加の場面で見落とされるのが、これらが一度きりの手続きではないことです。
36協定は有効期間を1年とするのが一般的で、期間が切れれば締結し直し、届け出直します。過半数代表者は、その事業場の労働者から、その都度選出しなければなりません。本社で選んだ代表者が、新しい施設の労働者を代表することはできません。定期健康診断とその結果報告も、毎年です。
つまり、拠点が2つになると、毎年繰り返す作業が2セットになります。保険の一括で減るのは保険料の申告事務であって、この部分は減りません。
届出の手間は減らせる
負担を軽くする手立てはあります。36協定と就業規則には本社一括届出の仕組みがあり、2025年3月31日から要件が緩和されました。労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」の電子申請様式作成支援ツールを使う場合に限り、届出内容が本社と異なる場合でも、内容が同一の事業場を組み合わせて一括して届け出られます(厚生労働省)。
さらに2026年2月26日の通達改正により、36協定については、対象となる様式の限定が撤廃されました(厚生労働省)。当初は一般条項・特別条項・研究開発業務の3様式に限られていましたが、この制限がなくなっています。
ただし、これは届出の窓口をまとめる仕組みです。協定そのものは各事業場で締結し、過半数代表者も各事業場で選出する必要があります。ここは変わりません。
これから増える義務
もう一点、拠点を増やす法人が今から見込んでおくべき変更があります。
ストレスチェックは、これまで常時50人以上の事業場に実施が義務づけられ、50人未満は当分の間の努力義務とされてきました。2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にも実施が義務づけられました。施行日は2028年(令和10年)4月1日です(山梨労働局、厚生労働省)。
施行後は、規模の小さい施設を増やしても、その施設ごとにストレスチェックが必要になります。拠点を分散させるほど、この負担は積み上がります。
社会保険の適用拡大だけは、法人全体で数える
ここまでは「分かれるもの」と「まとめられるもの」の話でした。最後に、拠点が増えたことで判定そのものが動く制度を取り上げます。これは、事業場が分かれることとは逆向きに働きます。
短時間労働者を社会保険に加入させる義務が生じる「特定適用事業所」の判定は、事業所ごとではなく、同一の法人番号を持つすべての適用事業所の合計で行います。厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を含まない、共済組合員を含む)の総数が、1年のうち6か月以上51人以上となることが見込まれる場合に該当します(日本年金機構)。
ここに、これまでの話との異なる部分があります。36協定も就業規則も安全衛生も施設ごとに分かれるのに、社会保険の適用拡大の判定だけは法人全体で合算されるのです。
そのため、こういうことが起こります。2つ目の施設を開設して職員を採用した結果、法人合計の被保険者数が51人に届いた。すると、もともと在籍していた1つ目の施設のパート職員まで含めて、週の所定労働時間20時間以上・所定内賃金月額8.8万円以上・学生でないという要件を満たす人が、新たに加入対象になります。
新しい施設で採用した職員だけの話ではありません。法人全体に一斉に及びます。
該当すると日本年金機構から通知が送られ、事業主側から特定適用事業所該当届を提出するのが原則です。保険料の事業主負担が相応に増えるため、増設を計画する段階で、法人全体の被保険者数が51人にどれだけ近いかを確認しておく必要があります。新施設の採用計画だけを見ていると、この線を越えたことに気づきません。
なお、いったん該当すると、その後に被保険者数が基準を下回っても、原則として引き続き特定適用事業所として扱われます。不該当とするには、被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類を添えて不該当届を提出する必要があります(日本年金機構)。元に戻すのは簡単ではありません。
よくある質問
労働保険を一括したら、雇用保険と社会保険も自動でまとまりますか
まとまりません。労働保険の継続事業の一括、雇用保険の事業所非該当承認、社会保険の一括適用承認は、それぞれ別の制度です。要件も申請先も異なり、1つを取っても他は連動しません。労働保険を一括しても、雇用保険の適用事業所の単位はそのままで、事業所ごとの番号も残ります。
サテライトとして本体に含めて指定を受けました。36協定も本体分だけでよいですか
いいえ。介護保険法上の指定が一体でも、労働基準法上の事業場は場所を基準に判断されます。場所的に離れた施設で継続的にサービスが提供されていれば、原則として別の事業場です。36協定は、その施設で締結し、その施設を管轄する労働基準監督署に届け出る必要があります。届出の窓口をまとめる本社一括届出の仕組みはありますが、協定そのものは事業場ごとです。
職員が5人しかいない小さな施設でも、就業規則を別に届け出るのですか
届出義務は生じません。就業規則の作成・届出義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場に課されるもので、この人数は事業場ごとに数えます。法人全体で10人を超えていても、その施設が10人未満であれば義務の対象外です。
ただし、届出が不要であることと、就業規則が適用されないことは別です。法人の就業規則をその施設の職員に適用するには、その施設で内容を確認できる状態にしておく必要があります(10人未満の事業所でも就業規則を整備すべき理由)。
本社で選んだ過半数代表者に、新しい施設の分もまとめて署名してもらえますか
できません。過半数代表者は、その事業場の労働者の過半数を代表する者として、その事業場で選出する必要があります。本社の職員が新しい施設の職員を代表することはできません。拠点が増えれば、選出の手続きもその数だけ発生します。
他県に施設を作った場合、最低賃金はどちらの県に合わせますか
その施設の所在地の都道府県の最低賃金です。給与計算を本社でまとめて行っていても、本社所在地の水準ではありません。法人で統一の賃金表を使っている場合、最低賃金の高い都道府県に作った施設だけが下回ることがあります。同一県内での増設であれば、この問題は生じません。
なお、改定の発効日は都道府県ごとに異なります。全国一律に10月1日から変わるわけではありません。
保険関係成立届を出し忘れたまま数か月が経ちました。今からでも出せますか
出せます。速やかに、その施設を管轄する労働基準監督署に相談してください。指導を受けても手続きをしない場合、行政庁の職権で成立手続きと保険料の認定決定が行われ、遡って保険料と追徴金が徴収されます。また、未手続きの期間中に労働災害が起きて労災保険給付が行われた場合には、給付額の一部または全部が事業主から徴収されます。時間が経つほど不利になる仕組みなので、気づいた時点で動くのが最も損失が小さくなります。
まとめ
介護事業所を1つ増やすと、単位は3つに割れます。
本社にまとめられるものは、労働保険料の申告・納付(継続事業の一括)、雇用保険の被保険者に関する事務(事業所非該当承認)、社会保険の適用事業所(一括適用承認)です。ただし、それぞれ別の制度で、要件も窓口も違います。1つ取れば他も連動する、ということはありません。
そして労働保険については、まとめる前に、新しい施設で個別に保険関係を成立させる必要があります。窓口は新拠点の所轄と本社の所轄の2か所にまたがります。
まとめられないものが、労働基準法・労働安全衛生法上の事業場です。36協定の締結と届出、過半数代表者の選出、就業規則の周知、安全衛生の体制は、施設が存在する限りその施設ごとに発生し続けます。しかも毎年繰り返されます。保険の一括で減るのは保険料の事務であって、この部分は減りません。
拠点が2つになるということは、毎年の労務管理が2セットになるということです。
制度は変わります。この記事は2026年8月時点の内容です。手続きの取扱いには所轄による違いもあります。実際に進める際は、労働局・労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所の公式情報で確認し、判断に迷う場合は所轄の窓口や顧問社会保険労務士にご相談ください。



