勤務医として働いていた間、労働条件通知書は病院から渡されるものでした。開業してスタッフを雇うと、これを作る側に回ります。
書面が必要なことは、多くの院長がご存じです。分からないのは中身のほうで、何を書くのか、どう書くのか、作った後はどうするのか、という順に疑問が出てきます。この記事では、個人開業の医科クリニック(業種に関係なく雇用契約書は必要です)を前提に、その3つに順番に答えます。
雛形はインターネットで手に入りますし、AIに作らせることもできます。ただ、一般的な雛形は「9時から18時、週40時間」という勤務形態を前提にしており、曜日ごとに診療時間が違うクリニックの実態は、その枠に収まりません。そこが、この記事でいちばん紙幅を割いた部分です。
まず、何を作るのか
最初に決めるのは、何という書面を作るのかです。
労働条件通知書と雇用契約書は、性質が違う
労働条件通知書は、使用者が労働者に労働条件を知らせるための書面です。労働基準法第15条は、労働契約を結ぶときに賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければならないと定めており、これは使用者側の義務です。スタッフの同意は要件ではありません。書面を渡した時点で、義務は果たされます。
一方、雇用契約書は、労使双方が契約の内容に合意したことを示す書面です。雇用契約そのものは、口頭でも成立します。書面がなければ契約が無効になる、ということはありません。ただし労働契約法第4条第2項は、労働契約の内容について、期間の定めのある労働契約に関する事項を含め、できる限り書面により確認するものとする、と定めています。
整理すると、通知書は「渡す義務がある書面」、契約書は「渡す義務はないが、合意を残すための書面」です。法律が求めているのは前者だけです。
雇用契約書に押印は必要ですか
法律上の要件ではありません。ただし、実務では署名または押印を取ります。
内閣府・法務省・経済産業省が連名で公表した押印についてのQ&A(令和2年6月19日)は、契約は当事者の意思の合致により成立するものであり、書面の作成やその書面への押印は、特段の定めがある場合を除いて必要な要件とされていない、と明記しています。押印がなくても契約の効力に影響はありません。労働条件通知書についても同様で、法令が求めているのは書面の交付であって、署名や受領印ではありません。
それでも押印を取るのは、後から争いになったときのためです。書面に本人の署名または押印があると、その文書は本人が作成した真正なものだと裁判所に推定されます。「そんな条件は聞いていない」「この書類は知らない」と言われたときに、使用者側が説明に窮しなくて済みます。
なお、押印を省くこと自体は問題ありませんが、その場合は代わりの記録を残す必要があります。同Q&Aも、押印をしない場合に文書の成立の真正を証明する手段として、メールの送受信記録や、契約の成立過程の保存などを挙げています。押印をやめることと、証拠を残さないことは別です。
一枚にまとめてよい
通知書と契約書を、別々に2種類作る必要はありません。実務では「労働条件通知書兼雇用契約書」という一つの書面にまとめるのが一般的です。
厚生労働省が公開しているモデル労働条件通知書の末尾には、この通知書の交付が、労働基準法第15条に基づく労働条件の明示と、パートタイム・有期雇用労働法第6条に基づく文書の交付を兼ねるものである旨が記載されています。複数の法律が求める要件を、一つの書面で満たす設計になっています。
これに署名押印欄を設け、上記の労働条件に合意して雇用契約を締結する旨の一文を加えれば、明示義務を果たしつつ、合意の記録も残せます。
ただし、1人につき2部
書面は一種類でよいのですが、部数は1人につき2部必要です。
労働基準法は、労働条件を記載した書面を労働者に交付することを求めています。同時に、雇入れに関する書類は保存義務の対象です。1部しか作らずに本人へ渡すと、クリニック側に何も残りません。かといって院長が持っていれば、交付したことになりません。2部に署名押印して、労使で1部ずつ保管するのが原則です。
署名押印を1部だけに行い、その写しをクリニックが控えとして保管する形でも構いません。いずれにせよ、渡すものと残すものの両方が必要という点は変わりません。モデル労働条件通知書の末尾にも、労使間の紛争の未然防止のため保存しておくことを勧める旨が記載されています。
作成のたたき台には、このモデル様式を使うのが確実です。ただし、次章以降で述べるとおり、そのまま使えるとは限りません。
何を書くのか
書く内容は法令で決まっています。必ず書くもの(絶対的明示事項)と、制度がある場合に書くもの(相対的明示事項)に分かれます。
必ず書く項目
| 項目 |
|---|
| 労働契約の期間 |
| 期間の定めがある場合の更新の基準 |
| 就業の場所、従事する業務(変更の範囲を含む) |
| 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制の場合の就業時転換 |
| 賃金の決定・計算・支払の方法、締切と支払の時期 |
| 退職に関する事項(解雇の事由を含む) |
昇給に関する事項も明示は必要ですが、書面でなくてもよいとされています。実務では書面に含めます。
パートタイム・有期雇用労働者を雇う場合は、これに加えて昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口の4項目を書面で明示します。クリニックのスタッフはパートの比率が高いので、この4項目は実質的に必須と考えてください。相談窓口は院長本人でも構いませんが、担当者名または役職を具体的に書きます。
2024年4月から追加された項目
2024年4月1日以降に結ぶ契約・更新する契約には、次の4項目が加わりました。
| 追加項目 | 対象 |
|---|---|
| 就業場所・業務の変更の範囲 | 全員 |
| 更新上限の有無と内容 | 有期契約 |
| 無期転換を申し込める旨 | 有期契約(申込権が発生する更新時) |
| 無期転換後の労働条件 | 同上 |
インターネット上の雛形やAIが生成した書式には、この改正が反映されていないものがあります。特に「変更の範囲」は全員が対象なので、常勤・パートを問わず影響します。作成前に、厚生労働省のページでモデル様式が最新版かどうかを確認してください。書き方は後の章で扱います。
明示を怠った場合は、30万円以下の罰金の対象になります(労働基準法第120条)。
ここまでは、どの業種でも共通します。問題は次章からで、この様式にクリニックの勤務形態を当てはめようとすると、手が止まります。
曜日で勤務時間が違う場合、どう書くか
一般的な労働条件通知書の様式は、始業・終業の時刻を1行で書く欄から始まります。「9時00分から18時00分まで」と書けば済む職場を想定しているためです。
ところがクリニックの診療体制は、月・水・金は19時まで、火・木は13時まで、土は12時30分まで、といった複雑な形になります。曜日ごとに終業時刻が違うので、1行に収まりません。インターネット上の雛形も、AIが生成する書式も、この点は解決してくれません。

モデル様式には、書く欄が用意されている
実は、厚生労働省のモデル労働条件通知書には、この場合に使える欄があります。
始業・終業の時刻の欄は、(1)の1行だけではありません。(2)として、変形労働時間制・交替制の場合に、始業と終業の組み合わせを適用日付きで複数行書ける欄が設けられています。記載要領も、交替制の場合はシフトごとの始業・終業の時刻を記載すること、変形労働時間制でない場合は「( )単位の変形労働時間制・」の部分を=で抹消しておくことと指示しています。
つまり、変形労働時間制を導入していなくても、この欄を使えます。(1)ではなく(2)を使い、変形労働時間制の文言を抹消したうえで、適用日の欄を曜日で埋めます。
始業(8時45分)終業(19時00分)(適用日 月・水・金曜日)
始業(8時45分)終業(13時00分)(適用日 火・木曜日)
始業(8時45分)終業(12時30分)(適用日 土曜日)
行数が足りなければ、行を増やして構いません。モデル様式の末尾には、この通知書はモデル様式であり、労働条件の定め方によってはこの様式どおりとする必要はない旨が明記されています。欄を書き換えてよいことは、様式自体に書かれています。
当事務所では、この形で欄内に書き切るようにしています。別紙を作る方法もありますが、通知書と別紙が離ればなれになり、更新のときにどちらが最新か分からなくなることがあります。一つの書面で完結させたほうが、後の管理は楽です。
別紙が要るのは、職種ごとに勤務パターンがいくつも分かれる場合や、週によって組み合わせが変わる場合です。書き切れないほどの複雑さがあるなら、そもそも勤務パターンの設計から見直したほうがよい、という判断材料にもなります。
「シフトによる」とだけ書くのは足りない
月ごとにシフトを組んでいて、契約の時点では始業・終業の時刻が確定していない場合があります。この場合に「シフトによる」とだけ書くのは、適切ではないとされています。
厚生労働省は令和4年1月に「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を公表しています。ここでは、契約締結の時点で始業・終業時刻が確定していない場合であっても、「シフトによる」との記載だけでは労働条件の明示として足りないとされ、次のような対応が示されています。
- 原則的な始業・終業時刻のパターンを記載したうえで、契約締結と同時に、一定期間分のシフト表を交付する
- 休日について、曜日ごとの勤務パターンや、月単位で目安となる労働日数・労働時間を明記する
- シフトの作成・変更・通知の手続き(シフト表をいつまでに提示するか等)を決めて示す
この留意事項は法令ではなく、行政指導の拠り所となる文書です。ただ、労働基準監督署の調査で明示の適否が問題になったときに、判断の基準として使われます。
クリニックでの現実的な落としどころ
多くのクリニックは、完全なシフト制ではなく、曜日は固定だが時間帯が曜日ごとに違うという形ではないでしょうか?この場合は前述のとおり適用日を曜日で埋めれば足り、シフト制の論点には入りません。
シフト制の色が出てくるのは、パートを複数名雇って、週の中で交替に入ってもらう場合です。この場合も、勤務パターンをいくつか定義して、そのどれかに当てはめる形にすると書きやすくなります。「Aパターン(8時45分〜13時00分)、Bパターン(14時45分〜19時00分)、原則として週3日、Aパターンを中心とする」といった書き方です。パターンを決めておけば、労働時間の集計も、雇用保険の週20時間の判定も追いやすくなります。
なお、週の所定労働時間が変動する場合でも、雇用保険の加入判定や年次有給休暇の比例付与は、実績のブレではなく契約上の所定を基準に判断します。通知書に書いた所定労働時間が、そのまま手続きの基礎になります。ここが曖昧なままだと、後で判定できません。
所定労働日以外に出てもらう場合
パートのスタッフが急に休んだ。その日が休みの別のスタッフに、出勤をお願いする。クリニックでは日常的に起きる場面です。
このとき、本来の休みの日に出てもらった分をどう扱うかは、労働条件通知書の書き方と直結します。契約で所定労働日を決めている以上、それ以外の日の勤務は契約の範囲外だからです。
原則は、所定外労働として扱う
労働契約で定めた労働日以外の日に働いてもらう場合、その労働は所定外労働になります。賃金の計算は、その日を含めた週の労働時間で決まります。
- その週の労働時間が法定労働時間(週40時間)の範囲内に収まる場合 → 通常の時給を支払う(割増は不要)
- 週40時間または1日8時間を超える部分 → 25%以上の割増賃金が必要
週3日勤務のパートに1日多く出てもらっても、週の合計が40時間に届かなければ、割増は発生しません。ここは常勤スタッフとの違いが出るところです。詳しくは、パートの残業代は時給か125%かで扱っています。
振替として処理するなら、契約書に一文を
「その代わり別の日を休みにする」という処理をする場合は、休日の振替になります。ただし、これには条件があります。
- あらかじめ、休日を振り替えることがある旨の定めがあること
- 出勤日の前日までに、振り替える休日を具体的に特定して本人に伝えること
1の定めは、就業規則に置くのが一般的ですが、それに限られません。常時10人未満のクリニックには就業規則の作成義務がないため、開業直後は就業規則がないことのほうが普通です。この場合は、労働条件通知書兼雇用契約書に一文を入れておけば足ります。
(備考)業務の都合により、あらかじめ通知したうえで休日を振り替えることがある。
この一文があるかないかで、急な欠勤への対応の幅が変わります。開業時に書面を作る段階で入れておくべき条項です。後から追加するには、あらためて合意を取ることになります。就業規則の整備については、クリニックに就業規則は必要かをご覧ください。
なお、定めがあっても2の要件は外せません。当日の朝に電話をして出てもらい、後から「来週のどこかで休んでいい」と伝えるのは振替になりません。この場合は所定外労働として扱い、割増が必要な部分は支払います。
通知書に「時間外労働あり」と書いても、それだけでは足りない
ここが最も誤解の多い部分です。
労働条件通知書には「所定時間外労働の有無」を書く欄があります。ここに「有」と記載すれば、時間外労働を命じる根拠が契約上できます。しかし、これだけでは法定労働時間を超える労働を命じることはできません。
労働基準法は、1日8時間・週40時間を超える労働を原則として禁止しています。この規制を外すには、労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署へ届け出る必要があります。通知書への記載は労使間の取り決めであり、36協定は行政に対する手続きです。性質が違うので、片方が他方の代わりにはなりません。
開業時は、労働条件通知書の作成と36協定の届出を、別々の作業として進める必要があります。36協定については、クリニック・歯科医院の36協定。出していても無効になる4つの落とし穴で詳しく扱っています。
業務の範囲をどう書くか
2024年4月から、就業場所と業務について「変更の範囲」を書くことが必要になりました。全員が対象で、パートも含まれます。
クリニックでこれが効いてくるのは、職務の線引きが曖昧だからです。受付として採用したスタッフに、レセプト業務を任せる。手が足りないときは器具の洗浄を頼む。人数が少ない職場では、業務が固定されないほうが普通です。
記載の形
モデル様式は、雇入れ直後と変更の範囲を分けて書く構造になっています。クリニックに当てはめると、次のようになります。
従事すべき業務の内容
(雇入れ直後)受付事務、会計業務
(変更の範囲)受付事務、会計業務、レセプト業務、診療補助に関する業務
雇入れ直後の欄には、実際に最初から担当してもらう業務を書きます。変更の範囲には、契約期間中に任せる可能性がある業務まで含めます。
変更が想定されないのであれば、両方に同じ内容を書きます。変更の範囲の欄を空欄にしたり、「なし」とだけ書いたりするのは、明示したことになりません。
狭く書くと、後から命じられなくなる
範囲を狭く書けば、スタッフにとっては予測しやすくなります。ただし、書いた範囲を超える業務を後から命じることは難しくなります。職種や業務内容を特定のものに限定する合意があると認められた場合、使用者が個別の同意なしにその合意に反する配置転換を命じることはできない、という判断が最高裁で示されています。
範囲を書くという行為は、限定の合意があったかどうかの判断材料になります。「受付事務のみ、変更なし」と書いた通知書を交付していれば、後から診療補助を命じたときに、スタッフが断る根拠になり得ます。
逆に、広く書きすぎるのも考えものです。「クリニックの運営に関する一切の業務」と書けば命じる側は自由になりますが、採用時にそれを見たスタッフがどう受け取るかは別の問題です。応募の段階で敬遠されることもあります。
開業時に実際にありそうな範囲を、具体的に列挙するのが落としどころです。想定していない業務まで網羅しようとすると、かえって書けなくなります。
作った後、どうするか
交付したら終わりではありません。保管し、手続きに使い、条件が変われば作り直します。
保管する
労働条件通知書兼雇用契約書は、労働基準法第109条にいう労働関係に関する重要な書類にあたり、保存義務があります。
保存期間は法律上5年ですが、当分の間3年とする経過措置が置かれています。2026年8月時点で、この経過措置は続いています。起算日は、雇入れや退職に関する書類の場合、そのスタッフが退職または死亡した日です。在職中はずっと保管し、辞めてから3年、と考えてください。
労働者名簿・賃金台帳とあわせて、法定三帳簿と呼ばれる書類群になります。労働基準監督署の調査では必ず確認される書類です。
手続きに使う
雇用保険の被保険者資格取得届を出す際、労働条件通知書または雇用契約書の写しの提出を求められることがあります。週の所定労働時間が20時間以上か、31日以上の雇用見込みがあるかを、行政側が確認するためです。
つまり、書面を作っていないと、労働保険や雇用保険の手続きが進みません。採用してから慌てて作るのではなく、採用を決めた時点で用意しておくのが順序です。開業時の労働保険・雇用保険の届出とあわせて段取りを組んでください。
条件が変わったら、作り直す
賃金を上げた。勤務日を週3日から4日に増やした。こうした変更があった場合、労働条件は変わります。
労働条件の変更は、労使の合意によって行います。口頭で伝えただけだと、後から「そんな話は聞いていない」という食い違いが生じます。変更のたびに新しい通知書兼契約書を取り交わすか、変更覚書を作って保管するのが実務です。特に、賃金や労働時間を引き下げる方向の変更は、合意があったかどうかが厳しく見られます。
有期契約を更新する場合は、更新のたびに新しい契約を結ぶことになるので、その都度あらためて明示が必要です。
電子で交付できるか
できます。ただし条件があります。
できること
- 労働者が希望した場合に、電子メールやFAXで明示できる(労働基準法施行規則第5条第4項)
- 電子署名を使って契約を締結できる。「押印についてのQ&A」も、押印しない場合に文書の真正を証明する手段として電子署名や電子認証サービスの活用を挙げています
- 既に導入しているグループウェアに電子署名の機能が含まれていることがあります。Google Workspaceの場合、電子署名(eSignature)はBusiness Standard以上のエディションで利用できます。専用の電子契約サービスを別に契約しなくても、既存の環境で完結できる場合があります
できないこと
- 使用者の判断だけで電子交付に切り替えること。労働者が希望した場合に限られます
- 出力して書面にできない形式で送ること。印刷できる形(PDF等)である必要があります
- 院内のポータルサイトや共有フォルダに掲示して、明示に代えること
- 電子データを保存せずに済ませること。保存義務は電子でも変わりません
- Google Workspaceの最も安価なBusiness Starterで、電子署名機能を使うこと。電子署名を使うつもりでStarterを契約すると、後から上位エディションへの切り替えが必要になります
希望を口頭で確認しただけだと記録が残らないので、希望を示したやり取り自体を保存しておくのが確実です。
まとめ
開業して人を雇うと、労働条件を受け取る側から、作る側に変わります。作るものは、労働条件通知書兼雇用契約書です。1人につき2部作り、労使で1部ずつ保管します。押印は法律上の要件ではありませんが、合意を残す手段として取ります。押印を省く場合は、代わりの記録が要ります。
書く内容は法令で決まっており、2024年4月からは就業場所と業務の「変更の範囲」が全員について必要になりました。インターネット上の雛形やAIが生成した書式には、この改正が反映されていないものがあります。
そして、様式に手が止まるのは、勤務時間の欄です。曜日ごとに終業時刻が違うクリニックの診療体制は、1行では書けません。モデル様式には複数行を書ける欄が用意されているので、適用日を曜日で埋めてください。「シフトによる」とだけ書くのは、明示として足りないとされています。
所定労働日以外に出てもらった分は、原則として所定外労働です。振替として処理するには、あらかじめ振替がある旨を定めておき、出勤日の前日までに振替先を特定して伝える必要があります。就業規則がなくても、雇用契約書に一文を入れておけば対応できます。通知書に「時間外労働あり」と書いても、それだけでは法定労働時間を超える労働を命じられません。36協定の届出は別に必要です。
書面は、交付して終わりではありません。退職から3年間の保存義務があり、雇用保険の手続きで提出を求められることがあり、労働条件が変われば作り直します。
なお、制度の運用は改定されることがあり、記録の保存期間の経過措置や、電子署名を利用できるサービスの条件も、今後変わる可能性があります。作成の前に、厚生労働省のモデル労働条件通知書が最新版かどうかを確認してください。判断に迷う点があれば、労働基準監督署や顧問の社会保険労務士に相談することをおすすめします。


