クリニックの勤怠管理|午前診と午後診の間の中抜けは休憩か、白衣への着替えは労働時間か。何を打刻するかで記録の意味が変わる

スタッフにタイムカードを押してもらっている。出勤と退勤の時刻は残っている。これで足りているかどうか、確信が持てないという院長は少なくありません。

労働時間の把握は、使用者の義務です。ただ、クリニックには判断の難しい時間帯が2つあります。午前診と午後診の間の中抜けと、着替えです。この2つの扱いを決めないまま記録を取り始めると、記録は残っているのに実態とは合っていない、という状態になります。

この記事では、クリニックを前提に、何を打刻するかの決め方を整理します(業種によって打刻が必要ではないという業種はありません。全業種において、勤怠管理は重要です。)。勤怠管理システムの機能を比較する話ではありません。決めるべきことを決めたうえで、どういう仕組みで記録すればよいかという順序で書きます。

目次

労働時間の把握は、使用者の義務

タイムカードを押してもらっている。それで足りているかどうかを、まず整理します。

法律が求めているのは「客観的な記録」

労働時間の把握については、根拠が2つあります。

ひとつは、厚生労働省の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)です。使用者は、労働日ごとに始業・終業の時刻を確認し、記録することとされています。その方法は、使用者が自ら現認するか、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とすることが原則です。

もうひとつは、労働安全衛生法第66条の8の3です。2019年4月1日に施行されたもので、事業者は厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないとされています。省令(労働安全衛生規則第52条の7の3)では、タイムカードによる記録、パソコン等の電子計算機の使用時間の記録などの客観的な方法、その他の適切な方法と定められています。

こちらは面接指導を確実に実施するための規定なので、残業代の計算とは別の目的です。対象は高度プロフェッショナル制度の適用者を除くすべての労働者で、管理監督者も含まれます。

自己申告は、例外の位置づけ

出勤簿に手書きで記入してもらう、あるいは口頭で報告を受ける。これらは自己申告制にあたります。

ガイドラインは、自己申告制を客観的な記録が難しい場合の例外として扱っています。やむを得ず自己申告制による場合は、対象となる職員と管理する側の双方に十分な説明を行うこと、申告された時間と実際の時間に乖離がある場合は実態を調査して補正すること、適正な申告を阻害する措置を設けないことが求められます。

事業場外で働く職員がほとんどいないクリニックでは、客観的な記録が難しいという事情は考えにくいところです。手書きの出勤簿だけで済ませている場合、原則から外れていることになります。

タイムカードの設置自体は、義務ではない

誤解されやすい点ですが、法律が求めているのは労働時間を適正に把握し、記録を残すことであって、タイムカードという特定の機器を置くことではありません。

ただ、院長が全職員の始業・終業時刻を毎日その場で確認して記録するのは、診療をしながらでは現実的ではありません。結果として、何らかの機器で打刻するという形に落ち着きます。手段は選べますが、記録を残さないという選択肢はないと考えてください。

なお、把握した労働時間は賃金台帳に記載する義務があります(労働基準法第108条、同法施行規則第54条)。労働日数、労働時間数、時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数などを職員ごとに記載します。クリニックでは、レセプト業務で深夜に及ぶ日や、急な休日出勤が発生することがあります。これらを分けて記録できる状態にしておく必要があります。

問題は、何を打刻するか

ここまでは、どの業種でも同じです。

クリニックで実際に難しいのは、機器を選ぶことではありません。打刻の対象をどこに置くかです。午前診と午後診の間の時間は休憩なのか。着替えの時間は含めるのか。ここを決めないまま記録を取り始めると、記録は残っているのに実態と合っていない、という状態になります。

次章から、この2つを順に見ていきます。

中抜けは、休憩になっているか

午前診が終わり、午後診が始まるまでの2時間。この時間を、多くのクリニックが「昼休み」として扱っています。

問題は、その時間が労働基準法上の休憩として成立しているかどうかです。成立していなければ、労働時間になります。

休憩とは、労働から解放されている時間

労働基準法第34条は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。

ここでいう休憩は、職員が権利として労働から離れることを保障された時間です。実際に手を動かしていなくても、いつでも業務に対応できるように待機している状態は休憩ではありません。これを手待ち時間といい、指揮命令下に置かれているものとして労働時間に算入されます。

午前診と午後診の間の時間が休憩にあたるか手待ち時間にあたるかの判定|キャプション:中抜けの時間が休憩として成立するかどうかは、電話や来客への対応義務があるかで決まる

電話番を置くと、その時間は労働時間になる

昼休み中に来客当番として待機させている場合の扱いについて、行政通達があります。昭和23年4月7日基収1196号は、休憩時間に来客当番として待機させていれば、それは労働時間であるとしています。あわせて、その場合は休憩時間を別に与えなければならないとされています。

クリニックに当てはめると、休憩時間中に電話を取る当番を置いた場合、その職員の中抜けは休憩ではなく労働時間です。電話が鳴らなかった日であっても変わりません。待機していること自体が労働だからです。

ただし、休憩時間中の電話をすべて留守番電話に回せるかというと、そう単純ではありません。患者からの予約変更であれば後で折り返せますが、紹介先の病院からの連絡、行政からの照会、医薬品卸や業者との調整は、その時間帯に集中することもあります。連絡を落とすことの経営上の不利益は、労務管理上の手間とは別に評価する必要があります。

そのため、実際には次のどれかを選ぶことになります。

  • 院長が対応する — 職員の休憩は完全に成立する。院長の負担は増える
  • 留守番電話にする — 職員の休憩は成立する。折り返しが必要な連絡が滞る可能性がある
  • 当番を置く — 連絡は落ちない。ただし当番の時間は労働時間となり、休憩を別に与える必要がある

どれが正解ということはなく、クリニックの規模と連絡の量で決まります。重要なのは、当番を置くなら、その時間を休憩として処理しないという一点です。

当番を置く場合の処理は、当番の時間を労働時間として記録し、休憩をその日の別の時間帯に確保することになります。午後診の前後にずらす、あるいはその日のうちに取らせる。手当を払って休憩の代わりにする、という処理はできません。通達も、来客当番として労働に従事する時間が他の労働時間と通算して1日8時間または週の法定労働時間を超える場合には、割増賃金の支払義務が生じるとしています。

一律で控除する運用の、2つの問題

勤怠管理でよく見られるのが、休憩時間を一律に控除する運用です。実際の中抜けが何分であっても、一律60分を休憩として労働時間から差し引く。設定が簡単なので、こうしているクリニックは少なくないはずです。

この運用には、逆方向の2つの問題があります。

ひとつは、控除が足りない場合です。中抜けが2時間あり、その間職員が自由に過ごしているのであれば、労働時間から引くべきは2時間です。60分しか引いていなければ、労働していない60分を労働時間として計算していることになります。これは事業所側が損をする形なので指摘されることは少ないのですが、記録としては実態と合っていません。

もうひとつは、控除しすぎている場合です。こちらが問題です。中抜け中に電話対応をさせている、カルテの整理をさせている、片付けが終わっていない。実態としては働いているのに、一律で60分なり120分なりを引いていれば、その分の賃金が支払われていないことになります。労働基準法第24条の賃金全額払いの原則に反し、法定労働時間を超えていれば割増賃金の未払いにもなります。

どちらも、実際に何分休憩したかを記録していないために起きます。

だから、休憩も打刻する

対処は単純です。休憩の開始と終了を打刻してもらう。

出勤・退勤だけを打刻して、休憩は一律控除という設定にしていると、記録は残りますが実態は残りません。休憩を打刻していれば、誰がいつ何分休んだかが記録に残ります。電話番をした日は休憩が短くなり、その分が労働時間として計算されます。

この設定は、多くの勤怠管理システムで標準的に用意されています。導入時に一律控除を選ぶか休憩打刻を選ぶかで、記録の意味が変わります。中抜けが長いクリニックでは、休憩打刻を選ぶべきです。

着替えは労働時間か

白衣やスクラブへの着替えを、労働時間に含めるかどうか。この論点は業種を問わず語られますが、クリニックでは結論が出しやすい部類です。理由を順に説明します。

分かれ目は「そのまま通勤できるか」

判断の基準を示したのは、最高裁の平成12年3月9日判決です。労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内で行うことを使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされたときは、特段の事情がない限り指揮命令下に置かれたものと評価でき、その時間は労働基準法上の労働時間にあたる、と判示しています。

条件は2つです。所定の服装への着替えが義務づけられていることと、事業場内での着替えが義務づけられているか、余儀なくされていること。

逆に、制服を着用したまま通勤しても社会通念上の支障がなく、事業場内で着替えるよう明示的にも黙示的にも義務づけられていなかった、として更衣時間の労働時間性が否定された裁判例もあります。両者を並べると、分かれ目は「その服装のまま通勤できるか」にあることが分かります。

スクラブではそのまま通勤しない

クリニックの場合、ここが決め手になります。

白衣やスクラブは、血液や体液、病原体に触れる可能性のある衣服です。それを着たまま通勤し、公共交通機関を使い、帰りに買い物をする。感染管理の観点から、通常は想定されていません。明文で禁止していなくても、実態として院内で着替えることが余儀なくされている状態にあたります。

医療機関の着替えについて直接述べた公的資料や通達は、確認できていません。ただ、上記の判断枠組みを当てはめれば、クリニックの着替えは労働時間にあたると考えるのが妥当です。当事務所でも、その前提で指導しています。

なお、始業前の清掃、器材の準備、朝礼も同様に労働時間です。厚生労働省のガイドラインが、業務に必要な準備行為を事業場内で行った時間を労働時間の例として挙げています。

だから、打刻は着替えの前

結論が出れば、運用は決まります。出勤したらまず打刻し、それから着替える。

着替えてから打刻する運用にすると、労働時間である着替えの時間が記録から漏れます。1日5分でも、20日で100分、1年で20時間です。記録に残っていない以上、後から未払いを指摘されたときに反論する材料がありません。

打刻の端末をどこに置くか問題

ここが実務上の要点です。打刻の順序を決めても、端末の位置が合っていなければ守れません。

受付のカウンターに打刻端末を置いていると、職員は更衣室で着替えてから受付に出て打刻することになります。私服で受付に出て打刻し、更衣室に戻って着替える、という動線は現実的ではありません。端末の位置が、着替え後の打刻を強制してしまうわけです。

対処は2つあります。ひとつは、打刻端末をスタッフの出入口や更衣室の近くに置くこと。もうひとつは、スマートフォンで打刻できるようにすることです。スマホ打刻であれば、更衣室で打刻してから着替え、そのまま業務に入るという流れが無理なく作れます。

実際の運用は、クリニックによって幅があります。出勤してすぐ打刻し、数分後から始業とするところもあれば、打刻してから着替えるところもあります。どちらでも、着替えが打刻の後に来ていれば要件は満たします。

記録が残っていないと、何が起きるか

打刻の対象を決めたら、次は記録の扱いです。

保存は義務

タイムカードや打刻のデータは、労働基準法第109条にいう労働関係に関する重要な書類にあたり、保存義務があります。保存期間は法律上5年ですが、当分の間3年とする経過措置が置かれており、2026年8月時点でこの経過措置は続いています。

労働者名簿・賃金台帳とあわせて、法定三帳簿と呼ばれます。労働基準監督署の調査では、必ず提出を求められる書類です。

紙のタイムカードを3年分保管するとなると、それなりの量になります。電子データでの保存も認められているので、クラウド型のシステムを使っていれば、この点は自動的に解決します。

記録がない場合、不利になるのは事業所側

残業代の未払いを争う場面を考えます。

本来、労働時間がどれだけあったかを主張して立証するのは、請求する側である労働者です。ところが、事業所側に客観的な記録がない場合、この関係が実質的に逆転します。

使用者には労働時間を適正に把握し記録する責務があります。その記録を残していない状態で「そんなに働いていないはずだ」と主張しても、根拠になるものがありません。一方の職員側は、手帳のメモでも、家族に送ったメッセージの時刻でも、何かしら手元に残っていることが多い。

双方の言い分が食い違ったとき、片方だけが何も出せない状態になります。記録を残す責務を負っているのが事業所側である以上、この状況で事業所側の主張が通ることは期待しにくいと考えてください。

ここで効いてくるのが、前章までの2つの論点です。中抜けを一律控除にしていれば、実際に何分休憩したかの記録は存在しません。着替え後に打刻していれば、着替えの時間は記録に残っていません。記録は取っているのに、争いになる部分だけが記録されていないという状態が起こり得ます。

見つかってから直すのは、大変な作業である

労働時間の記録の問題は、その日限りで終わりません。同じ運用を3年続けていれば、3年分の記録が同じように不正確です。

指摘を受けてから運用を改めても、それは今日以降の話であって、過去の分は残ったままです。打刻ルールは、早く決めるほど影響が小さい。開業時に決めておくのが最も摩擦が少ないのは、このためです。

記録すると、実態が見える

ここまでの3章は、打刻の対象を決める話でした。最後に、決めた後で何が起きるかを書きます。

記録は、確認するためにある

労働時間の記録は、法律で義務づけられているから残すものです。ただ、残しただけでは何も変わりません。確認して初めて、意味を持ちます。

休憩の打刻データを確認したところ、特定の職員だけ休憩が短くなっていた、ということがあります。業務の偏りが原因で、院長は把握していなかった。データを見て初めて分かった、という形です。

紙のタイムカードでは、こうはなりません。出勤と退勤しか押していなければ、休憩が取れているかどうかは記録に残らないからです。誰かが「昼休みが取れていない」と言い出すまで、分かりません。そして、言い出す職員ばかりではありません。

休憩の打刻は、労働基準法上の記録であると同時に、職場の状態を映すデータでもあります。特定の人に負荷が寄っていないか、時間外が増えていないか。月に一度眺めるだけでも、気づけることがあります。

給与計算を外に出すなら、給与計算の前提になるものである

給与計算を社会保険労務士に委託する場合、この記録がそのまま計算の基礎になります。

計算する側は、その日に誰が何時間働き、何分休憩したかが分からなければ、正確な額を出せません。出勤簿に始業と終業だけが手書きされていて、休憩は一律で引いてください、と言われれば、そのとおりに計算するほかありません。実態が違っていても、計算する側には分からない。

クラウド型の勤怠管理を使っていれば、委託先も同じデータを見られます。集計を渡す手間がなくなるだけでなく、外部の目が入ることで、気づかなかった状態が見つかることもあります。

必要な機能は、3つで足りる

導入するシステムを選ぶ段階になると、機能の多さで迷うことになります。比較記事には数十のサービスが並び、それぞれに多くの機能が付いています。

多くのクリニック・事業所で実際に使うのは、3つです。

  • 打刻 — 出退勤と、休憩の開始・終了
  • 有給休暇の管理 — 付与日数、取得した日付(時季)、基準日。年次有給休暇管理簿として、時季・日数・基準日の記録が労働基準法施行規則第24条の7で義務づけられています。残日数の自動計算は法定の必須項目ではありませんが、あると管理が楽になります
  • シフト作成 — シフトを組んでいる場合のみ。曜日固定であれば不要なこともある

これで足ります。当直の管理、看護配置の帳票、電子カルテとの連携といった機能は、病院向けのもので、無床診療所には必要ありません。高機能なシステムほど設定項目が多く、導入時の負担が大きくなります。

当事務所では、ジョブカン勤怠管理やマネーフォワード クラウド勤怠を導入した実績があります。いずれも上記の3つを備えており、小規模な事業所でも扱える範囲のものです。他にも同種のサービスは複数あるので、既に会計や給与で使っているサービスがあれば、同じ系列で揃えるのも選び方のひとつです。

つまずくのは、設定と運用の定着

導入時に手間取るのは、機能の不足ではありません。最初の設定と、スタッフに使ってもらうことの2つです。

設定では、所定労働時間、休憩の扱い、締め日、有給の付与日といった項目を決めていきます。ここは労務管理の設計そのもので、決まっていなければ設定できません。打刻ルールを先に決めるべき理由は、ここにもあります。

運用の定着は、打刻を忘れる人が出るかどうかです。最初の1か月は修正が続きますが、それを見越しておけば問題になりません。端末の位置やスマホ打刻の可否を、この段階で調整します。

よくある質問

院長本人の労働時間も記録する必要がありますか

必要ありません。個人クリニックの院長は事業主であり、労働者ではないためです。労働時間の規制の対象外なので、記録の義務もありません。

ただし、常勤の医師を雇っている場合、その医師は労働者です。労働時間の把握が必要で、時間外労働には割増賃金が発生します。「先生だから」という理由で対象外になることはありません。

紙のタイムカードでは違法ですか

違法ではありません。厚生労働省のガイドラインも、労働安全衛生規則も、タイムカードによる記録を客観的な方法の例として挙げています。紙のタイムカードは、原則にかなった方法です。

問題になるのは、記録の内容です。出勤と退勤しか押していなければ、休憩の実態は記録に残りません。中抜けの長いクリニックでは、ここが弱点になります。紙かデータかではなく、何を記録しているかで判断してください。

労働時間は1分単位で計算する必要がありますか

労働基準法第24条は、賃金を全額支払うことを求めています。1分でも労働した時間があれば、その分の賃金が発生するため、結果として1分単位で集計する必要があります。毎日の労働時間について、15分未満を切り捨てるといった処理は認められません。

例外は1か月単位の端数処理です。昭和63年3月14日基発150号により、1か月における時間外労働・休日労働・深夜労働のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる処理は、法違反として取り扱わないとされています。

注意点が2つあります。日ごとの端数処理はできません。また、30分未満を切り捨てるなら、30分以上は切り上げる必要があります。切り捨てだけを行うことはできません。

打刻を忘れた場合はどうしますか

管理する側で修正し、修正した記録を残します。誰がいつ何を修正したかが残る形にしてください。

ただし、修正が常態化すると、実質的に自己申告制になります。前述のとおり、自己申告は客観的な記録が難しい場合の例外です。打刻忘れが続くようであれば、端末の位置や打刻の手順を見直すほうが確実です。

まとめ

労働時間の把握は、使用者の義務です。原則は客観的な記録によることとされており、手書きの出勤簿だけで済ませている状態は、原則から外れています。ただし、タイムカードという特定の機器を置くことが義務なのではありません。求められているのは、記録を残すことです。

クリニックで判断が難しいのは、機器の選択ではなく、何を打刻するかです。

午前診と午後診の間の中抜けは、職員が労働から完全に解放されていれば休憩です。電話番を置けば、その時間は労働時間になります。すべてを留守番電話に回せるとは限らないので、院長が対応する、留守電にする、当番を置く、のいずれかを選ぶことになります。当番を置くなら、その時間を休憩として処理しないことだけは外せません。そして、実際に何分休憩したかを記録するために、休憩も打刻します。一律で控除する設定は、実態とずれます。

着替えは、そのままの服装で通勤できるかどうかで結論が分かれます。白衣やスクラブは感染管理の観点から通勤時に着用しないため、院内での着替えが余儀なくされている状態にあたり、労働時間と考えるのが妥当です。だから打刻は着替えの前になります。打刻端末を受付に置くと、この順序が守れません。端末の位置やスマートフォン打刻の可否は、運用そのものを左右します。

記録は3年間の保存義務があります。記録が残っていない状態で労働時間を争うことになれば、事業所側は主張の根拠を持てません。打刻ルールは早く決めるほど、影響が小さく済みます。

そして、記録は残すだけでなく確認するものです。休憩の打刻データを見れば、負荷の偏りに気づけることがあります。10人未満のクリニックであれば、打刻・有給管理・シフト作成の3つを備えたクラウド型の勤怠管理で足ります。高機能なものは、設定の負担が増えるだけです。

なお、制度の運用や記録の保存期間の経過措置は、今後変わる可能性があります。判断に迷う点があれば、労働基準監督署や顧問の社会保険労務士に相談することをおすすめします。

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この記事を書いた人

川西 隆之のアバター 川西 隆之 社会保険労務士

兵庫県川西市の川西隆之社労士事務所
クラウドツールを活用した労務のデジタル化を得意としています
(ジョブカン認定アドバイザー)

税理士事務所勤務平成22年3月~平成31年1月
社労士業補助平成22年3月~平成28年8月
社労士登録平成28年9月~
1984年3月9日生まれ。
兵庫(但馬)産まれ兵庫(但馬)育ち。川西市在住。
一人の妻と3人の子どもたち。

2005年社労士試験合格
2016年開業登録(岐阜県)
→2020年より兵庫県川西市にて開業

以下の事項に力を入れています。
・クラウド勤怠管理・給与計算を利用した勤怠管理・給与計算の効率化
→給与計算に必要な時間の圧倒的な削減

・クラウド労務管理を導入することで、法定帳簿の管理・社会保険手続きの効率化
→代行することなく自社での管理・申請が容易に可能

・適切な労務管理を行うことによる、労使トラブルの防止
→疑問点があれば、その都度の相談可能

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