2025年4月から、常時雇用する労働者が101人以上の事業主には、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく一般事業主行動計画を策定・変更するときの新しい義務が加わりました。男性の育児休業等の取得状況と労働時間の状況を把握し、その両方について数値目標を立てることです。
では、立てた目標を達成できなかったら、どうなるのでしょうか。
結論からいえば、目標を達成できなかったこと自体に罰則はありません。注意が必要なのは、別の2点です。1つは、計画期間の途中で目標を変えるときの手続きです。もう1つは、計画期間が終わったまま次の計画を作らない「空白」の期間です。後者は、両立支援等助成金の申請要件にも関わります。
この記事では、男性職員が少なく、夜勤や変形労働時間制で働く介護の職場を前提に、数値目標の立て方と、未達を見越した計画の作り方を整理します。
常時雇用100人超(101人以上)の介護事業者に求められること
常時雇用する労働者が100人を超える事業主には、2つの法律に基づいて、一般事業主行動計画を策定する義務があります。まず、何が求められているのかを確認します。
行動計画は2本ある
1本目は、次世代法に基づく行動計画です。仕事と子育ての両立を図るための計画で、次の4つが義務になっています。
- 計画を策定すること
- 策定した旨を都道府県労働局に届け出ること
- 労働者に周知すること
- 外部に公表すること
計画には、計画期間、目標、目標を達成するための対策とその実施時期を定めます。この記事で扱う数値目標は、こちらの計画の話です。
2本目は、女性活躍推進法に基づく行動計画です。こちらも同じ規模の事業主に、策定・届出の義務があります。2026年4月1日からは、101人以上の事業主に、男女間の賃金差異と女性管理職比率の公表も義務づけられました。この記事では、女性活躍推進法の計画の詳細には立ち入りません。
なお、2本の計画は、計画期間をそろえれば1つにまとめて策定・届出することもできます(本記事末尾の「よくある質問」で触れます)。
「101人」は、パートを含めて法人全体で数える
ここでいう「常時雇用する労働者」とは、正社員・パート・アルバイトといった名称にかかわらず、次のいずれかに当たる人です。
- 期間の定めなく雇用されている人
- 過去1年以上引き続き雇用されている人、または雇い入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる人
介護の現場に多い短時間の非常勤職員も、有期契約を更新し続けて1年以上になっていれば含まれます。
数える単位は、事業所ではなく法人全体です。デイサービス、訪問介護、グループホームと複数の事業所を運営している場合、1つひとつの事業所が数十人規模でも、合算すると101人を超えることがあります。事業所を増やす段階の手続きについては、介護事業所を増やしたときに必要になる労務手続きで整理しています。
「100人以上」と表現されることもありますが、法律上の対象は、常時雇用する労働者が「100人を超える」事業主、つまり101人以上です。ちょうど100人であれば、策定は努力義務にとどまります。
なお、助成金で中小企業に当たるかどうかを判断するときの「常時雇用する労働者」は、フルタイムに近い所定労働時間の人だけを数えるなど、数え方が異なります。同じ法人でも、2つの人数は一致しません。
2025年4月から必須になった数値目標
2025年4月の改正で、次世代法の行動計画の作り方が変わりました。101人以上の事業主は、行動計画を策定・変更する際に、自社の状況を数字で把握し、分析したうえで、数値目標を立てなければなりません。
把握・分析・目標設定の3段階
改正後の手順は、次の3段階です。
1. 状況を把握する
直近の事業年度について、次の2つを把握します。
- 育児休業等の取得状況:男性労働者の育児休業等の取得率です。会社独自の育児目的休暇制度がある場合は、それを含めた取得率を使うこともできます。
- 労働時間の状況:フルタイム労働者1人当たりの、各月の法定時間外労働と法定休日労働の合計時間数です。
2. 改善すべき事情を分析する
把握した数字をもとに、何が課題かを分析します。
行動計画策定指針には分析の観点が例示されています。たとえば、周囲に気兼ねなく育児休業を取れるよう、業務体制の見直しや、休む人の業務を代わりに担う体制が整っているか、という観点です。シフトの穴が埋まらないことが育休取得の障害になりやすい介護の職場では、特に重要な観点です。
3. 数値目標を設定する
分析の結果を踏まえ、把握した数字を用いて、定量的な目標を立てます。目標の形式は、実数・割合・倍数など、数値を用いるものであれば問いません。この「実数でもよい」という点が、男性職員の少ない介護の職場では意味を持ちます(次の章で扱います)。
育休と労働時間、両方の目標が必要
数値目標は、育児休業等の取得状況と、労働時間の状況の両方について立てる必要があります。
この点は法律の条文そのものに定められています。次世代法は、目標を「育児休業等の取得の状況及び労働時間の状況に係る数値を用いて」定量的に定めるよう求めています。厚生労働省の改正次世代法に関するQ&Aも、目標を「①及び②に係る数値を用いて」定める必要がある、と明記しています(①は育児休業等の取得状況、②は労働時間の状況)。育休の目標だけ、あるいは残業時間の目標だけでは、要件を満たしません。
目標の水準については、同じQ&Aが「計画期間内に達成を目指すものとして、各事業主の実情に見合った水準とすることが重要」としています。背伸びした目標を掲げることは求められていません。どの水準に置くかは、未達になったときの扱いと合わせて考える必要があります(「未達を見越した計画の作り方」の章で扱います)。
2025年3月以前から続いている計画は、いつから対象になるか
改正前に策定し、いまも計画期間が続いている行動計画はどうなるのでしょうか。
新しいルールの対象になるのは、2025年4月1日以降に策定または変更する計画からです。改正前に始まった計画を、期間の途中で作り直す必要はありません。計画期間が満了し、次の計画を策定するときから、状況把握と数値目標の設定が必要になります。
ただし、「変更」も対象に含まれている点に注意が必要です。改正前に始まった計画であっても、2025年4月1日以降に計画期間の途中で内容を変更すれば、その変更の時点から新しいルールの対象になります。
| 計画の状況 | 新しいルール(状況把握・2つの数値目標)の適用 |
|---|---|
| 2025年4月1日以降に策定した計画 | 策定時から対象 |
| 2025年3月以前に策定し、期間中に変更した計画 | 変更の時点から対象 |
| 2025年3月以前に策定し、変更していない計画 | 次の計画から対象 |
また、改正前から計画を策定していた事業主は、直近の計画期間についても、育休と労働時間の状況を把握しておくことが望ましいとされています。次の計画を策定するときに必要になる数字なので、早めに集めておくと手戻りがありません。
介護で数値目標を立てるときの2つの論点
数値目標の要件は、業種を問わず同じです。ただ、介護の職場では、同じ要件をそのまま当てはめると数字がうまく機能しない場面が2つあります。男性職員が少ないことと、夜勤や変形労働時間制で働いていることです。
男性が少ない職場では、取得率ではなく人数で目標を立てられる
男性の育児休業等の取得率は、「配偶者が出産した男性労働者」を分母にして計算します。男性職員の少ない介護の職場では、この分母が1年に1人か2人ということも珍しくありません。1人が取得するかどうかで、取得率は0%にも100%にもなります。分母が0人の年もあります。
「取得率○%以上」という目標をそのまま掲げると、取り組みの中身と関係なく、その年に誰の配偶者が出産したかで達成・未達が決まってしまいます。
厚生労働省の改正次世代法に関するQ&Aには、この問題に使える手立てが3つ示されています。
1. 実数で目標を立てる
数値目標は割合でなくてもかまいません。Q&Aの目標例には、育児休業または育児目的休暇を取得した男性労働者を「○名以上とする」という形が挙げられています。
2. 取得率を使うなら、計画期間の平均にする
Q&Aの例には「計画期間における男性の平均育児休業取得率を○%以上とする」もあります。単年ではなく期間の平均で見れば、年ごとのぶれを均すことができます。
3. 直近の事業年度に対象者がいなければ、さらに前の状況を把握する
直近の事業年度に配偶者が出産した男性労働者がいない場合も、状況の把握と分析は必要です。その場合は、前の計画期間など、直近の事業年度より前の状況を把握・分析する方法が示されています。
これらを踏まえると、たとえば次のような目標の立て方ができます。
計画期間中に、育児休業等を取得する男性労働者を1名以上とする。
計画期間中に配偶者が出産した男性労働者の育児休業等取得率を、計画期間の平均で○%以上とする。
なお、「育休中の業務を引き継ぐためのマニュアルを全事業所で整備する」といった、体制づくりを数値にした目標を立てることもできます。ただし、それは育休の取得状況に関する目標に加えて立てるものです。育休の取得状況を表す数値を使った目標は、別に必要です。
夜勤・変形労働時間制の職場で数えるのは、法定の時間外労働と法定休日労働
労働時間の目標の元になるのは、フルタイム労働者1人当たりの、各月の法定時間外労働と法定休日労働の合計時間数です。介護の職場でこの数字を集めるときは、次の3点に注意が必要です。
1. 集計の対象はフルタイムの職員
対象は、短時間労働者を除くすべての労働者です。短時間勤務のパート職員は含まれませんが、フルタイムで働く夜勤専従の職員は含まれます。管理監督者も対象ですが、労働時間の管理方法が異なるため、ほかの職員とは分けて把握する方法が示されています。
2. 数えるのは「法定」の時間外労働
シフトを延長しても、法定労働時間の枠内に収まる残業は数えません。1か月単位の変形労働時間制をとっている場合、法定時間外かどうかは、日・週・月の3段階で判定します。判定の手順は、変形労働時間制の残業代を日・週・月の3段階で数える方法で解説しています。
3. 休日労働として数えるのは「法定休日」の労働だけ
法定休日は、週1日(または4週4日)の休日です。それ以外の所定休日に出勤しても、ここでいう休日労働には当たりません(週40時間を超えれば、時間外労働として数えます)。夜勤明けの日と法定休日の関係は、介護職員の夜勤明けと法定休日の置き方をご覧ください。
実務で気をつけたいのは、給与計算の数字をそのまま使うことです。法定内の残業にも割増賃金を払う規程にしている事業所では、給与計算上の「残業時間」に、法定時間外に当たらない時間が混ざっています。勤怠データから法定時間外と法定休日の労働だけを取り出せるかを、先に確認しておく必要があります。法定内の残業と法定時間外の分け方は、法定内残業と週40時間の判定で解説しています。
目標を達成できなかったらどうなるか
数値目標が義務になったことで、「国に出す計画で目標に届かなければ、指導を受けるのではないか」「助成金がもらえなくなるのではないか」と心配になる方もいるでしょう。その結果、達成できそうもない低い目標を置いたり、計画づくりそのものが後回しになったりします。
結論からいえば、次世代法の行動計画で目標に届かなかったことを理由に、法律上の不利益を受けることはありません。ただし、影響がまったくないわけではありません。場面ごとに分けて整理します。以下は次世代法の行動計画についての説明で、女性活躍推進法の行動計画には別の規定があります。
罰則も勧告もない
次世代法で、厚生労働大臣が事業主に勧告できるのは、義務のある事業主が次の3つのいずれかをしない場合に限られます。
- 計画の届出
- 計画の公表
- 労働者への周知
目標の達成を事業主に義務づける条文はなく、未達に対する罰則もありません。
つまり、義務違反になるのは「計画を作らない」「届け出ない」「公表・周知しない」ことです。「立てた目標に届かなかった」ことは、義務違反に当たりません。
期間満了時の報告義務もないが、未達は次の計画の出発点になる
届出が必要なのは、計画を策定したときと変更したときです。計画期間が終わった時点で、達成できたかどうかを労働局に報告したり、結果を公表したりする義務はありません。労働局の案内でも、実施状況を労働局に報告する必要はないとされています。
ただし、次の計画を策定するときには、あらためて育休と労働時間の状況を把握し、改善すべき事情を分析する必要があります。前の計画で目標に届かなかったのであれば、その理由はまさに分析すべき「改善すべき事情」です。未達は、次の計画の出発点として扱うことになります(具体的な進め方は次の章で扱います)。
両立支援等助成金で求められるのは、有効な計画
両立支援等助成金の多くのコースでは、次世代法に基づく行動計画が申請の要件になっています。令和8年度の支給申請の手引きが求めているのは、次の2点です。
- 申請の時点で計画が有効であること(申請日が計画期間の中に入っていること)
- 支給申請日までに、計画の策定・届出・公表・周知が済んでいること
目標を達成していることは、要件として挙げられていません。
裏返すと、計画期間が終わっていて次の計画ができていなければ、目標を達成していたとしても要件を欠くことになります。助成金との関係で本当に注意すべきなのは、未達よりも、計画と計画の間に空白をつくることです(次の章で扱います)。どのコースでどの時点までに計画が必要かは、コースごとに異なるため、申請前に最新の手引きで確認してください。
くるみん認定は、目標の達成が条件
子育てサポート企業としての「くるみん」認定は、法律上、計画に定めた目標を達成したことが認定の基準に含まれています。目標に届かなかった計画期間については、認定を受けられません。認定を視野に入れる場合は、計画を作る段階で、達成できる水準かどうかを見極めておく必要があります。
未達の影響の整理
| 場面 | 目標に届かなかった場合の影響 |
|---|---|
| 罰則・勧告 | なし(勧告の対象は、届出・公表・周知をしない場合) |
| 期間満了時の報告・公表 | 義務なし |
| 両立支援等助成金 | 達成は要件ではない(有効な計画があることが要件) |
| くるみん認定 | 認定を受けられない |
助成金の申請に向けて、行動計画の期間や届出の状況が要件を満たしているか判断がつかない場合は、申請代行のご依頼についてにまとめています(顧問契約がなくてもお受けしています)。
未達を見越した計画の作り方
目標に届かなかったこと自体に、法律上の不利益はありません。そうであれば、計画を作る段階で考えるべきは、「どうすれば未達を避けられるか」よりも、「未達になっても困らない計画をどう組むか」です。ポイントは3つあります。
実情に見合った水準と、計画期間の長さ
目標の水準
目標の水準は、厚生労働省のQ&Aにあるとおり、計画期間内に達成を目指すものとして、実情に見合った水準に置きます。
出発点は、前の章で集めた直近の数字です。直近の実績から、計画期間中の取り組みで届く範囲を見積もって目標にします。世間の平均や、他社の公表している目標に合わせる必要はありません。
計画期間の長さ
計画期間は、労働局の案内で、2〜5年の範囲で設定するよう示されています。
男性の育休取得率を「計画期間の平均」で目標にする場合は、期間が長いほど年ごとのぶれを均しやすくなります。一方で、期間を長くするほど、事業所の増減や職員構成の変化で、計画と実態がずれやすくなります。事業所を増やす予定があるなど、状況が変わりやすい時期は、短めの期間にしておく方が見直しの機会を持てます。
なお、くるみん認定の基準でも計画期間は2〜5年とされています。認定を視野に入れる場合も、この範囲に収めておく必要があります。
途中で目標を変えるなら、変更届と周知・公表のやり直し
計画期間の途中で「この目標は届かない」とわかり、目標を変えたいと考えることもあるでしょう。目標の変更は、計画の変更に当たります。変更した場合は、次の3つをあらためて行う必要があります。
- 労働局への変更届の提出
- 変更後の計画の公表
- 変更後の計画の労働者への周知
いずれも、変更後おおむね3か月以内に行うよう労働局から案内されています。
ここで注意したいのが、2025年3月以前に始まった計画です。前述のとおり、改正後のルールは、2025年4月1日以降に計画を「変更」するときにも適用されます。
つまり、改正前の計画の目標を下げるつもりで変更すると、その時点で次の3つをやり直すことになります。
- 直近の事業年度の、育休と労働時間の状況の把握
- 改善すべき事情の分析
- 育休と労働時間の両方についての数値目標の設定
目標を1つ直すつもりが、計画の作り直しに近い作業になるわけです。
未達に罰則はありません。残りの計画期間が短いのであれば、無理に変更せず、期間の満了を待って、次の計画で水準を見直す方が負担は小さい、という判断もありえます。どちらを選ぶかは、残りの期間の長さと、変更にかかる作業量を比べて決めることになります。
本当に避けたいのは、計画期間の空白
前の章で見たとおり、両立支援等助成金では、申請日が行動計画の期間内に入っていることが要件です。計画期間が満了し、次の計画がまだ始まっていない「空白」の期間に申請日が来ると、目標を達成していたかどうかに関係なく、要件を欠くことになります。
育休を取った職員についての申請は、休業の時期に合わせて進むため、会社の側で申請日をずらす余地は大きくありません。空白をつくらないことが、いちばん確実な備えです。
次の計画は、前の計画の満了日から逆算して準備します。目安は、満了の3か月前から動き出すことです。
- 満了の3か月前:直近の事業年度の、男性の育休取得状況と、フルタイム労働者の法定時間外・法定休日労働の時間数を集める
- 満了の2か月前まで:改善すべき事情を分析し、前の計画の達成状況も踏まえて、次の計画の目標と取り組みを決める
- 満了日まで:次の計画の開始日を、前の計画の満了日の翌日に設定する。届出は法律上、策定からおおむね3か月以内でかまいませんが、両立支援等助成金では、支給申請日までに策定・届出・公表・周知が済んでいる必要があります。申請が近い職員がいる場合は、開始日までに済ませておくと確実です。
よくある質問
職員がちょうど100人です。行動計画の策定は義務ですか。
義務ではなく、努力義務です。策定・届出が義務になるのは、常時雇用する労働者が100人を超える、つまり101人以上の事業主です。
人数は、パートやアルバイトも含め、期間の定めなく雇用されている人と、1年以上雇用されている(または雇用が見込まれる)人を数えます。数える単位は、事業所ごとではなく法人全体です。
配偶者が出産した男性職員がいない年は、育休の目標をどう立てればよいですか。
直近の事業年度に対象者がいなくても、育休の状況の把握と分析は必要です。その場合は、前の計画期間など、さらに前の状況を把握・分析する方法が示されています。
目標は取得率でなくてもかまいません。「計画期間中に、育児休業等を取得する男性労働者を1名以上とする」のように、人数で立てることもできます。
年次有給休暇の取得率の目標で、労働時間の目標の代わりにできますか。
代わりにはできません。法律は、労働時間の状況に係る数値を用いて目標を定めるよう求めています。そして厚生労働省のQ&Aは、この「労働時間の状況」を、フルタイム労働者1人当たりの各月の法定時間外労働と法定休日労働の合計時間数としています。
年休の取得率はこれに当たらないため、年休の目標を立てる場合は、労働時間の目標に加えて立てることになります。
目標を達成できなかったら、労働局への報告や結果の公表が必要ですか。
必要ありません。届出と公表が義務になるのは、計画を策定したときと変更したときです。計画期間が終わったときに、達成状況を報告したり公表したりする義務はありません。
目標に届かなかったこと自体に、罰則や勧告もありません。ただし、くるみん認定は目標の達成が基準になっているため、未達の計画期間については認定を受けられません。
女性活躍推進法の行動計画と1つにまとめられますか。
まとめられます。両方の法律の要件をいずれも満たし、かつ計画期間を同じにする場合は、1つの計画として策定し、一体型の様式で労働局に届け出ることができます。
別々に作っている計画を1つにまとめたい場合は、どちらかの計画期間の終わりを変更してそろえる方法が、労働局から案内されています。2025年3月以前に始まった次世代法の計画について期間を変更する場合は、新しいルールの対象になる点にも注意が必要です(「途中で目標を変えるなら」の節を参照)。
まとめ
数値目標が義務になった次世代法の行動計画は、「達成できるか」よりも、「どう設計し、どう続けるか」で差がつきます。この記事の要点は次の4つです。
- 常時雇用する労働者が101人以上の事業主は、2025年4月以降に行動計画を策定・変更するとき、育休の取得状況と労働時間の状況の両方について、数値目標を立てる必要があります。
- 介護の職場では、育休の目標を人数や計画期間の平均で立てることができます。労働時間の目標は、フルタイム職員の法定時間外労働と法定休日労働だけを集計して立てます。
- 目標に届かなくても、罰則・勧告・報告の義務はありません。両立支援等助成金で求められるのは有効な計画であり、目標の達成ではありません。くるみん認定だけは、目標の達成が条件になります。
- 注意すべきは2点です。改正前に始まった計画を途中で変更すると、新しいルールの対象になること。そして、計画と計画の間に空白をつくらないことです。次の計画の準備は、満了の3か月前を目安に始めてください。
数値目標のルールや助成金の要件は、法改正や年度ごとの見直しで変わることがあります。実際に計画を作る際は、厚生労働省の改正次世代法に関するQ&Aと、申請時点で最新の両立支援等助成金の支給申請の手引きで確認してください。
個別の判断に迷う場合は、管轄の都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や、顧問の社会保険労務士に相談してください。
ここまでの手順で自社での対応が見通せるようでしたら、専門家への相談は必要ありません。
判断に迷うのは、たいてい「いまの計画の期間で、予定している育休の申請に間に合うか」「次の計画をいつまでに届け出れば空白ができないか」といった、自社の計画期間と職員の休業の時期を突き合わせないと決まらない部分です。当事務所では、医療機関・介護事業所の事業者さまから、両立支援等助成金について、申請の前提となる要件の確認から申請手続きまでをお引き受けしています。顧問契約がなくても、申請代行のみのご依頼が可能です。申請期間が決まっている制度ですので、職員の育休の予定がわかった段階でご覧ください。



